第30話 霊夢、可愛くなる。
どうも、魔理沙だぜ。
またサブタイトルをふざけ始めたな。
ぶっ飛ばしてくるんだぜ。
さぁ、異変の解決はいつになるんだろうな。
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心配、心配か。
魔理沙が言った言葉を、心の中で反芻する。
「僕のことが心配、なんて言葉、最近は聞かなかったからなぁ。」
そんな言葉を掛けてくれるのは、姉さんだけだった。
その姉さんが行方不明になってから、僕の存在を認めてくれる人間は居なくなった。
「……いつから、だったろうな。」
自分を、道具だと言い始めたのは。
価値の無い人間だと、理解し始めたのは。
「……いや、そんなことはどうでもいいか。」
暗い森だ。光の一つも差さない。
一応は警戒しているが、敵が居る気配はない。
「そもそも何なんだ、あれは。あれは妖怪って感じでもなかったぞ。」
形の定まらない影。妖怪について詳しく知っているわけではないが、そんなものが存在するのか……?
いや、妖精の類かもしれないな。
その辺は、後で霊夢に聞くか。
「しかし、あれだ。」
本当に暗いな、この森。何も見えてないんじゃないか?
いや、木は見えるが。
道も見えていないわけであって、そもそも来た時からまともな道なんてなかったし、目印なんてつけてなかったから──要するに。
「……今、何処を歩いてるんだ?出口って、何処だ?」
完全に完璧に、迷子である。
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「うぁぁぁ。やっと出れた。」
あの後、何処に居るのか分からなくて慌てふためいて、スペルカードを使えることに気がついた。
マジで万能だからな、
『イマジネート・クリエイション』。
「ん……何だか、賑やかな場所だな。」
ここは……人間の里、か?
人間の里については、一応霊夢から聞いていた。
確かに、居るのはみんな人間だなぁ。
……ちょっと寄っていこうかな。
「……いやいや。霊夢のヤツが無事に帰れたかも心配だし、さっさと帰るか。」
とはいえ、興味はある。
また別の機会に来てみるのも良いだろう。
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で。
「やっと帰ってきました博麗神社。」
肝心の霊夢さんは────
「………ッ!優都!」
おお、居た居た。
お賽銭箱の隣で座っていらっしゃった。
「ただいま。……しっかり倒してきたよ。」
「そんなことはどうでも良いのよ!だ、大丈夫なの?怪我とかしてない?」
……あれ。霊夢ってこんなに心配性なのか?
普段の性格からは考えられないくらいに心配性だな。
「大丈夫。特に何かあったわけではないよ。うん、霊夢が無事で良かった。」
「──ッ!?ば、バカ。何よいきなり。」
あら、照れていらっしゃる。
霊夢って、こんなに可愛かったっけ?
……いや、こっちが本来の霊夢なのか?
「ほんとに……こういう時にそんなこと言うんだから、勘違いするのよ……。」
んん?何を勘違いするのかは分からないが、
何だこの可愛い生物。
どうも、霊夢よ。
わ、私って可愛いの?
べ、別に優都に「可愛い」なんて言われても嬉しくなんてないからね!えへへ!
……こほん。
ごめんなさい。キャラが崩れたわ。
次回までゆっくり待っていなさいよね!