第27話 神を降ろす者
どうも、魔理沙だぜ。
優都くんのとんでもない秘密が明かされるぜ。
と言っても、まだ他にも何か秘密があるみたいだけどな。
もっと大きな秘密を抱えているんだぜ。
私も気になるぜ!
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『道具』。与えられた役目を果たす為だけに作られた消耗品。
役目を果たすだけの人形を道具と呼ぶのなら、それは自分のことであると、疑いもしなかった。
道具。道具だ。
道化でも、偽善者でも良い。
何だって良い。
救いを求める者があるのなら、僕は命だって犠牲にしても構わない。
所詮はたった一つ。消耗品の一つにすぎないのだから。
僕が自らに与えたのは、誰かを救う生き方。
僕は、命を捨てることを躊躇わない。
今、この瞬間も。
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それは、唐突だった。
アリスの家を出てほんの数歩。僕は死の危険を察知する。
「幻創『イマジネート・クリエイション』」
顕現した盾にとてつもない振動。軽く後方へ吹き飛ばされ、体勢を崩す。
「優都っ!?」
くっ……。かなり強いな。
「……このッ!」
霊夢が夢想封印を仕掛ける、が。
「……嘘。どうしてスペルカードが効かないの!?」
霊夢の夢想封印を真正面から受けて、防御すらしていなかった敵は、まだそこに在った。
ようやく、僕は敵を捉える。
いや、捉えるというのは語弊がある。
『影』だ。そこに在るのかどうかすら怪しく思える。
形は定まらず、姿を捉えることが出来ない。
「これは……厄介な相手だな。」
「くっ。こいつは私が──」
「お前は行け。何処から来たのかは知らないが、あいつはおそらく、攻撃を通さないぞ。」
「で、でもっ!私だけ行くなんて嫌よ!優都はどうするのよ!?」
「大丈夫だ。僕には一応、対処法があるからな。」
「でも。それでもっ!」
「分からないのか!?お前じゃ何も出来ないから言ってんだよ!」
「───ッ!………分かった。」
…………行った、か。
流石に言いすぎたよな。
……泣いてた、な。
「後で謝るか。……とりあえず。」
絶対に誰も傷つけさせない。
偽善になっても良い。
死んだって構わない。
「いくら強くても。お前はここで終わらせるよ。」
………僕は、道具だ。
障害を殲滅するための、道具。
使い潰されることこそ本望であり、いくらでも替えが利く消耗品。
「殺すなら殺せば良い。だけど、最低でも足止めくらいはするよ。」
僕は剣を創造する。
『形なき物を斬る』剣。
僕は道具だ。
役目を果たすためなら、死を迎えたって構わない。
「……心を絶ちて神を降ろす。」
僕が姉さんのところに迎えられた理由が、これだ。
僕は、この身に神を降ろし、その神格を一時的に宿すことが出来る。
勿論、代償がある。
僕が降ろすことが出きる神は、雷と剣の神、武御雷。
だが、その強大さ故に、ほんの三分で身体がボロボロになる。
姉さんの両親は、この力を使わせないように、自分達の監視下に置いたのだ。
「……三分あれば充分かな。」
誰かを救えるのなら、傷つくくらい構わないよ。
……後で、姉さんにも謝らないと。
使わないって約束したのにな。
どうも、霊夢よ。
優都は無茶しすぎよ。
まったく自分を大事にしないんだから。
何処かの誰かさんと同じね。
自分を犠牲にすることを躊躇いもしないんだから。
次回までゆっくり待っていなさいよね!