第18話 感傷と干渉
どうも、魔理沙だぜ。
久しぶりのシリアス全開だぜ。
やっぱり作者は、シリアスの方が書きやすいらしいぜ。
そのいじめは、端から見ていても辛いものだった。
小学生や中学生がやる普通のいじめとは訳が違う。
一人の女の子をいじめの対象として、
「こいつは犯罪者の子供だ、こいつも犯罪者だ」
と、嘘でしかない情報を学校中に広めたのだ。
これは明らかな名誉毀損であり、明らかな犯罪だが、
教師すら何も言わない。
──────周りがあいつをいじめている。俺もいじめないと、今度はこっちがいじめられる。
そういった恐怖があるのだろう。
誰もいじめを止めず、エスカレートしていく。
いじめの対象となっている少女は何も言わない。
何一つ、抵抗しない。
そんな中、最悪の冗談が放たれる。
───こいつ、人を殺してるんだぜ。
言い出した本人は、冗談のつもりだったのだろう。
だが、周囲の反応は予想外のものだった。
──近寄るな人殺し!
言い出した本人の近くにいた男子生徒が、大声で叫ぶ。
言葉は連鎖する。
非難は連鎖する。
──そうだ!近寄るな!
──こっちに来るな人殺し!
──何人殺したんだよ!
──早く消えろ!
感情が消えていく。
『もう、嫌だよ……………』
心の声が聞こえる。
悲しみの声が。
嘆く心が。
沈みゆく想いが聞こえる。
救わないと。
助けないと。
苦しみを、悲しみを、理不尽を、心の声を、
聞くことができる僕が、
彼女を救わなければならないんだ。
だから。その必要のない正義感で。
そのひどく無意味な使命感で。
その慢心で、僕は彼女を助けようと、声を発する。
「止めろよ。女子一人相手にみっともないことしてんじゃねぇよ。」
教室中が静まり返る。
微かな音が反響する。
蝉の鳴く声が響き渡った。
だが、その静寂も一瞬。
──何だよ、あいつ。
──今更正義のヒーロー気取りやがって。
──今まで何も言わなかったくせに。
──偽善者。
僕への非難が飛び交う。
この瞬間に、いじめの対象が僕へと変更された。
「余計なことしないで。助けられたって、いじめられてた事実は変わらないの。傷ついた過去は変わらないんだよ。」
彼女が言う。ひどく冷めきった目をして。
『偽善者』と。
僕の慢心で、彼女の世界は壊れ、僕は自分の世界を投げ捨てることになった。
そこに悲しみなんてものは無く、映るのは虚ろな言葉。
何も、救えない。
僕は、誰かを救うヒーローじゃない。
彼女は、悲しみに涙する悲劇のヒロインじゃない。
不幸だけを集め、幸せを運ぶことのない無意味な僕。
その価値は、その生きる意味は、過去の闇と共に消える。
どうも、霊夢よ。
優都の過去は、辛いものばかりね。
作者が自分の過去に重ねてるからかしら………。
過去話は次回にも続くみたいよ。
次回までゆっくり待っていなさいよね!