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東方 永恋郷『Absolute Sense』  作者: 如月 椿
第2章 悔夢異変
101/211

第101話 ヤンデレっ子の覚醒?

──────────


あの異変から、早くも季節が変わろうとしていた。

花梨の墓の隣で咲いていた美しい桜は、次の春に向けて休暇中だ。


「……毎日来なくても良いのに、とか言いそうだな。言われても来るんだけど。」


今日もまた、花梨の墓の前で手を合わせる。どうしても来られない日以外は毎日来るようにしている。


「今回の異変が解決して、また酒宴をやったよ。今度はみんな酔い潰れて大変だった。レミリアも酒に強い方だって聞いてたんだけどなぁ……」


花梨に最近の出来事を話す。毎日来ているものだから、そろそろ話題も尽き始めている。


「……そろそろ行くね。こころが夕飯を作って待ってる頃だから。」


花梨の墓に背を向けて歩き始める。辺りは夕焼けに染められ、美しい橙色だ。

真夏という季節からだろう。服は汗でじっとりと濡れていた。


「……博麗神社にはクーラーはもちろん、扇風機も無いんじゃないかなぁ。普段はどうやって乗り切ってるんだろ。」


霊夢のことだ、『根性』とかだろ。


──────────


「……何、やってんの?」


「え!?えと、これはその、なんというか……マーキング?」


「………僕のシャツに?」


帰ってきて部屋に戻ると、霊夢が僕の布団の上で何やらもぞもぞしていた。人のシャツを手に持っている。しかも、僕が墓参りに行く前に着替えた後のシャツだ。


「……へぇ。居ないときに人の部屋に忍び込んで、人のシャツの『臭い』を嗅いでた言い訳がそれ?」


「べべべ、別に『匂い』なんて嗅いでないわよ!?ただ……」


霊夢が顔を真っ赤にしてあたふたする。なんだよちょっと可愛いじゃないか。


「そう!私の匂いを擦り付けて、優都を眠れなくしてやろうと思ったのよ!」


いや、貴女自分で『マーキングしてる』って言ってましたけど。はい、言い訳だね決定。


「あぁそう。じゃあ遠慮なく寝かせてもらうね。それでいい?」


「む、むむむっ……。良いわよ。私の匂いで興奮しないことねっ。」


「それは無理。女の子の匂いが染み付いてるのに、意識するなって言う方がおかしい。」


割と本気の言葉で返すと、霊夢が茹で蛸みたいに赤くなって素早く部屋から退散した。


「……ちょっとからかいすぎたかな。後で謝っておくことにしよう。」


霊夢が出ていって開けっ放しになっていた廊下から外に出ようと──


「優都。夕御飯出来てるの分かってたんだよね?分かってないはずなかったよね?霊夢と何してたのかな……?」


「えっと、こころさん。どうして包丁なんてお持ちなのてしょうか。」


「……料理の最中だったんだよ?もう夕御飯だから、早く来てね?」


ニコニコ笑顔のまま台所へと戻っていくこころ。

良かった。今晩の食材にされるところだった気がする。


こころ……恐ろしい子だ。

わざわざ表記を“臭い”と“匂い”に変えてあるのは……そういうことだよ。

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