20,不穏な旅立ち
今回から主人公視点に戻ります。
ノイと朝まで話し込んだ日から二日が経った。
・・・結局朝まで語り合ったが分かったのは俺がアメリカンポリダクティル派
だがノイはソマリ派だった事ぐらいだった。
何か大事な事を忘れてる気がするが・・・まぁ思いだせないならそんな
大事な話でもないと思う。
さて話が逸れたが今日はノイがこの森から出て行く日だ。
俺としてはもう少し話をしていたい所だがアーシェさんとの約束を破る訳には
いかないからな・・・
[お前がいなくなると寂しくなるな・・・]
「俺もそう思うけどこれ以上タスクに迷惑をかけられないからな。
それに少しばかり急ぐ理由もある。」
ノイはそう言い切ると背を向けて森の外へと向かい始めた。
・・・急ぐ理由は大体察しはついているが俺にはどうする事も出来ない問題
だ。ここは黙って見送るしかない。
そうしてノイの後ろ姿が見えなくなるまで見送り、俺も二日ぶりに拠点へと
帰っていく。
(多分、ノイなら大丈夫。絶対に生きて戻れるはずだ・・・)
そう自分に言い聞かせ続けたが、心を覆う不安は決して晴れる事は無かった。
拠点に戻ると居間にアーシェさんが座り込んでいた。
[二日ぶりですねアーシェさん]
「もう戻ったのですね。魔族の少年はもう出て行ったのですか?」
[ええアーシェさんのお陰で傷一つ無く出て行きましたよ]
そう伝えるとアーシェさんは安堵のため息をついた。
[やっぱり魔族が近くに居たのは落ち着きませんでした?]
「ええ。私もルイス程ではありませんが魔族や人間は許せませんから」
そういうアーシェさんは一瞬少し悲しそうな目をしたが、直ぐにいつもの
あたたかい目に戻っていた。
「そういえば、魔族の少年から話は訊けましたか?」
[ええ!この世界で初めて同じ猫好きに会いましたよ!いや~この世界の
猫について何も知らなかったから助かりました!]
そう言ってアーシェさんを見るが、何故か白い目で俺を見ていた。
何か変な事でも言ったかな?
「まさかとは思いますが・・・そんな事がタスクさんにとっての知りたかった
事ですか?」
すごい震えた声でアーシェさんが訊いてくる。
[それ以外何を訊けというんです?]
「私はてっきり最初にタスクさんが言ったようなこの世界の魔族や人間の
情報かと思っていましたよ?」
アーシェさんの言葉を聞いた途端、二日前の事を思い出す。
[ヤバイ!すっかり忘れてた!猫の事を話し合うのが楽しすぎてつい忘れて
た!今からちょっと追いかけて来ます!間に合わないかも知れないけど!]
アーシェさんの返事も聞かずに俺はノイの後を追って走り始める。
「母さん、今日の夕飯は何かな?」
最後に聴こえたのはレイスの夕飯を確認する声だった・・・
二ヶ月以上更新できずすいませんでした。
これからはせめて二週間~一ヶ月以内には更新できたらいいな・・・