17,価値観の違い
(ルイス達にとって人間は憎むべき敵?アーシェさんもレイスも力を貸すはず
がない?ルイスが力を貸してくれないのは分かるが、あの優しい二人が断る
なんてあるはずない・・・)
最初にルイスを頼ったのは回復魔法をスキルとして持っていたからだ。
他の二人も回復魔法は使えるが、スキルとしては持っていない。
そしてこの世界では同じ技でもスキルとして持っているかいないかで威力が変
わる
俺を嫌っているルイスが協力してくれないのは想定内だ。
だがアーシェさんとレイスなら助けてくれると信じていた。
[そんなはずない!アーシェさんとレイスなら・・・!]
「母さんとレイスなら助けるとでも?何故そんなに断言出来るの?
・・・私達の事を何も知らないくせに。私達の何を知っているのよ!」
俺があの二人なら助けてくれるとルイスに訴える。
だがそんな甘い希望はルイスの正論によって砕かれる。
思い返してみれば確かにルイスの言う通り俺がアーシェさん、ルイス、レイス
について知っている事など無いに等しい事に気付く。
「あなたの理想を私達に押し付けないで・・・。
ほら母さんとレイスにも訊いてみなさいよ。そして理想と現実は違う事を
知るといいわ」
ルイスの視線を辿ると、部屋の入り口にアーシェさんとレイスがいた。
[アーシェさんにレイス・・・二人に頼みたい事があるんだ・・・]
アーシェさんとレイスがいる事に驚いたが直ぐに驚いている場合ではない事に
気付き、直ぐに頼みを伝えようとする。だが、
「タスクさん、ルイスとの話は失礼ながら聞いていました。
そしてその上での返事ですが・・・すみません。私達ではその人を助ける
事は出来ません。何故ならルイスのいう通り私達は人間を、そして魔族を
許す事は出来ませんから・・・」
タスケラレナイ?ニンゲンガ、マゾクガニクイ?アーシェサンハナニヲイッテ
イルンダ?
混乱している俺を余所ににアーシェさんは言葉を続ける。
「タスクさんはチキュウの価値観のせいでこの世界の価値観は理解出来ないか
も知れませんが、これが普通なのです。助けようと思う事が間違いなのです
間違いだと知ってなお助けたいと思うなら、その理由を教えて下さい。
その理由が私達から人への憎しみを忘れさせる程のものなら力を貸すのも
認めましょう。」
そういったアーシェさんはじっと見定めるかのように俺を見つめる。
そして落ち着いた俺はアーシェさんの言葉を何度も反芻する。
(俺があの少年を助けたいと思った理由・・・。見捨てたくなかっただけ?
何故そう思った?その理由は?)
数分の間考えた末に一つの結論に辿り着く。そしてその考えをアーシェさんに
告げる。
[アーシェさん、俺は_______
アーシェさん達の過去はどこで出そうかな・・・