16,嵐の予感と憎しみ
(あれは人間?という事は初めて異世界人との接触か?どうやら怪我してるみ
たいだけど・・・
でも今の俺はスライムだから不用意に近づいても殺されるのがオチだ
な・・・とりあえず鑑定してから判断しよう)
異世界人との初接触によりかなり混乱しているが何とか考えをまとめ、鑑定し
てみる。
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名前 ノイ=オーフェン
種族 魔人
LV: 57
状態 流血(重度) 気絶
能力値
HP 502/7503 MP 1390/2649 STR 5018 DEF 3127 AGI 2438 DEF 809 LUC 43
スキル
闇魔法LV6 索敵LV4 威圧LV2 毒耐性LV5 剣術LV5
ユニークスキル
覇気LV10(未覚醒)魔炎LV9(未覚醒)
称号
魔王の子、平和と共存を願う者、反抗期、追われる者
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(何だこのステータスは・・・
見た目は17,8歳ぐらいにしか見えないのにどんな奴を相手にすればそんなに
強くなれるんだよ。
魔王の子とか追われる者とか厄介な称号持ってるし・・・現在進行形で追わ
てる訳じゃないよな?)
余りの高いステータスと厄介な称号に現実から目を逸らすタスク。
だが鑑定を続けていると一つの事に気が付く。
(あれ?今HPが・・・?やっぱり気のせいじゃない!少しづつだけど減ってる
ステータスの高さに目がいって状態まで見ていなかった!このままじゃ後
数十分もしない内に死んじまう!)
相手は魔人で俺はスライム。助けた所で殺されるかもしれない。
でも俺は目の前の少年を何故かは知らないが見捨てたくない。
だが俺には少年を助ける術はない。薬草とかは生えてる場所を知らないし
知っていてもどう使えばいいかも分からない。
魔法も使えない俺にはどうする事も出来ない。そう俺には。
少年を助ける為に俺は森を全力で転がる。あいつが協力してくれる可能性は
低いだろう。でも説得しなければあの少年が死んでしまう。
転がりながら説得する方法を考えている内に拠点に着いた。
そしてあいつが居るであろう部屋に入る。
[ルイス!お前の力が必要だ!頼む、力を貸してくれ!]
部屋に入った瞬間に頼み事をする俺をルイスは見つめる。
「取り敢えず何があったか説明しなさい。力を貸すかはそれから決めるわ」
俺の鬼気迫る雰囲気に気付いたのか、普段の俺への態度ではなく真面目な態度
でルイスは説明するように求めた。
真面目なルイスの態度に驚いたがそれと同時に希望が生まれる
__これなら力を貸してくれるかも知れない。
そんな事を思いながらルイスに説明していく。
LV上げしてる途中に倒れている人を見つけた事。
かなり深い傷を負っていること。
鑑定した結果後数十分もしない内に死んでしまう事。
助けたいが俺ではどうしようもならない事。
ルイスの魔法で治して貰いたい事。
鑑定の詳細は話したら断られる可能性が高くなるため話さなかった。
説明し終わって俺はルイスの返事を待つ。
「私の魔法で少年を助けたいですって?本気でそんな事を言っているの?
・・・私にとって人間は憎むべき敵よ。助けたいなら他を当たりなさい。
もっとも母さんもレイスも協力するとは思えないけど」
怒りと憎しみに満ちた声でルイスは俺にそう宣言した