トリガー
「あれ~・・・俺の頭おかしくなったんかなぁ・・・?死んじまったのかなぁ・・・?」
頭の中が泡だて器でかき混ぜられてるような感じで混乱している。
状況を一言で説明するなら、世界が変わった。という感じである。
「スマートフォンの電波は出ていないから、昔の世界かな・・・。」
手元にある最新式スマートフォンの画面には「圏外」の表示が。
「っとGPSは・・・だめじゃん・・・。」
GPSも取得ができない状態になっている。
・・・・・・・・・・
キッカケは自宅にあるドデカイ倉庫をなんとなく掃除していた時に「絶対に開けるな」的な感じのでっかい木箱が有って、無性に開けたくなってしまったのだ。
そりゃあ開けるなとか言われると開けたくなるのは人の性だし、縦横と高さが約2メーターの巨大な木箱だから、財宝でも入っているんじゃないかと期待しますよ。
そこで、思い切ってバールでこじ開けたら爆発か何かに巻き込まれて、気がついたらなんか見たこともない色の葉の木が生えている森みたいなとこに居た、というわけですよ。
んで周囲を探索したら、さっきまで掃除してた倉庫が森から出たすぐのとこにあったんだよ。
実はそのドデカイ倉庫の一角には仕切りを作って、作業室兼自室を設置してあったことに加え、倉庫の中には発電機や燃料に食料や衣服等、生きていくために必要な物が入っているのでそれが残っていたらマジで助かるどころの話じゃない。
何故か施錠されていたので開けて入ってみた。
「パッと見て発電機と燃料が入っているはずのドラム缶とジェリ缶があって、非常食が入っているはずの袋が・・・あ、あったあった。」
デカデカと「非常食」と赤文字で書かれた袋を開けると、某ステルス潜入アクションゲームで有名になったブロック状の菓子風の食べ物が出てきた。
嬉しくなってしまい、つい開封して一口。「うめえ・・・」と言いながら安心して泣いてしまった。 男のくせにだらしないなぁ。
その後、ひと通り確認したところすべての物が残っており、そっくりそのまま移った様子であることがわかった。
とりあえず今日は保存してある水を少しだけ飲んで、寝ることにした。
・・・・・・・・・・
なんか肌寒く感じて起きた。
外から変な音が聞こえる・・・ わかりやすく言うとなんかゾンビのような何かが「出待ち」をして居そうな感じである。
「俺はこんなモーニングコールは頼んでないから勘弁してくれ・・・」と鳥肌全開の俺は倉庫内に爺ちゃんが生きていた頃のコレクションの刀を取りに行った。
刀身は錆びていない、非常に綺麗な刀を取り出して抜刀したまま倉庫の扉に近づいていく。
刀の扱い方は爺ちゃんが生きている頃にしっかりと教わったため、自信がある。
『3・2・1ッ!』口には出さずにカウントして勢い良く扉のロックを解除して、扉を蹴飛ばす。
バンと開いた扉の先には・・・マジでゾンビみたいなのが居た・・・
「5・・・6・・・10は確実に居るぞこれ・・・」絶望感に包まれた。
木の棒を持ったゾンビのような何かはこっちに向けて呻き声のような声を出してきた。 全身の毛穴から毛が飛んでいきそうなくらい鳥肌が立った。
とりあえず、攻撃され次第、反撃をすることにした。
「ヴバァァァァァ」と飛びかかってくるゾンビを横に飛んで回避、横を通り過ぎるのを確認すると同時に、刃を振りかざし下ろす。 スパッという感じでゾンビが切られて、緑色の体液のようなものをぶちまけて倒れた。
それを見た他のゾンビたちが一斉に逃げて行った。 勝ち目がないと悟ったのだろうか? それとも戦略的撤退なのかはわからない。
???「見事な一閃だね」
ゾンビの逃げていった方を見ていたら背後から声がした。 新手の襲撃かあのゾンビの操り主か分からないので、刀を構えたまま振り返ってしまった。
???「あー驚かせてごめんね、僕は君に敵意がないから安心して。」 そう言って、その人は両手を上げた。