俺は能無しのクズでした
2015年6月26日、東京拘置所。
-俺は黒田誠司。死刑囚だ。人を殺した。それ以外の理由は無い。
俺はもうすぐ死刑が執行されるだろう。
そんなことをふと思ったら殺した人間が頭に浮かんできた。忘れそうで怖いから今の内に全て思い出そう。
俺は銀行員だった。自慢じゃ無いが就職氷河期を乗り切ったエリートというプライドがあった。
勤務2年で地方都市の支店から本店に出向を命じられた。栄転だった。その頃は恋人もいて毎日が充実していた。
だが、出向先で俺を待ってたのは地獄だった。俺の精神は微塵に打ち砕かれた。
朝から晩まで働き詰め、少し効率が悪いと能無しだの、クズだの、役立たずだの罵詈雑言を浴びせられた。しまいには仕事を山程押し付けられた。幸い同期の仲のいい奴がいたが裏切られた。仲間の顔をしながら裏で俺をクズ呼ばわりしてた。最低の野郎だ。
そんな毎日が続くと自殺願望が湧いてきた。死んで楽になれるなら本望だと思った。
だが、失敗した。彼女に見つかった。それが理由で別れた。その後一度も会ってない。
その時ハッキリ気づいた。
俺が死んで自分が不幸になるよりなら俺を不幸に追い込んだ奴を同じ目に合わせてやろうと。




