表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セーラー服と雪女Ⅸ 「超時空の魔女」  作者: サナダムシオ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/22

⑤ 時空の監視対象者

『ここはフェアプレイの精神で、キミに全てを説明したいと思う。』

 相変わらず変な声のままの雪村が言う。

「そうね。遠回しな話はキライだけど、丁寧な説明は好きよ。」

 雪子が答える。


『この世は、まず点の世界、つまり0次元の世界から始まった。』

 えっ、そこから?と思ったが、雪子は敢えて突っ込まずに、黙って聞くことにした。


『次に世界は1次元、線の世界になった。点の世界の住人は、横に移動できる線の世界の住人をまるで魔法使いのように思った。』

『そして世界は2次元に変化した。それは平面の世界だ。やはり1次元の住人から見れば、縦にも横にも行ける、魔法のような移動が可能だ。』


『やがて3次元の世界ができた。縦横に加えて高さもしくは奥行きのある世界だ。もちろん2次元人にとっては上方向の移動は魔法だ。』

『さらに、世界はこれで終わらない。4次元もあるのだ。さあ、もう一つ自由になる方向があるとすればそれは何かな?雪子君』


 突然の質問に対して、予期していたもののように、雪子はすんなり答える。

「それは…時間ね?」

『その通り。我々はその世界の4次元人だと言えばわかるかな?』

「なるほど。」


『我々は第4の方向である❝時間❞の中を、過去・現在・未来 のどこでも自由に行き来できる。キミたち3次元人から見れば魔法使いというわけだ。』

「じゃあ私は、めでたく本物の魔法使いに出会えたというわけね?」

 それほど嬉しそうでもない顔で雪子は答えた。


「それで…その魔法使い様が、私に何の御用なのかしら?」

 彼女は尋ねる。


『近頃、3次元の住人でありながら、時間の中をを自由に行き来する者あり。それどころか、並行宇宙への随意の移動まで可能にした。そしてその移動には、精神体のみならず、限定的にせよ、物理的な肉体まで持って行けるようだ。その者を監視対象にすべし。』


 雪村の中の何者かが長いセリフを言い終える。

「…そんな感じに、5次元人から指令が下ったのね。」

 雪子が先に結論を述べた。

『!?』

 雪村の中の魔法使いは驚いたようだった。


「並行宇宙を自由に飛び回るのは、5次元人の特権だものねえ。」

 雪子はしゃべり続ける。

「付け加えるなら、アナタたち4次元人は、低級な5次元人が一つの時間軸に閉じ込められた者。私たち3次元人は、更に低級な4次元人が、時間を自由に行き来できないように、成長とともに劣化する物理的な肉体に閉じ込められた者。…つまり本来、高次元の存在は皆、精神体として存在しているのよね?」


「6次元より高次の存在のことはわからないけど、大方、似たり寄ったりのことでしょう。考えるのもくだらないわ。」

 そう言い放つと、雪子は相手の出方を見ることにした。


挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ