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セーラー服と雪女Ⅸ 「超時空の魔女」  作者: サナダムシオ


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㉑ 決意も新たに

「色々細かいところまで調べて下さってありがとう、サン・ジェルマン伯爵。」   

 暫く考えていた雪子がようやく口を開いた。


「それを知った上で、私は別時間軸の私の同位体の探索を続けるわ。」

「そうですか。」

「だってそれが私の生きがいなんですもの。」

「なるほど。」


「それに私、頑固で貪欲な性格なの。例えこの先100万年かかろうとも、雪村のチカラの欠片を全て集めて見せるわ。それまでこの旅は決してやめない。…幸いなことに、誰かさんの協力のおかげで、不老不死にもなったことだしね。」

「…そうでしたね。」


「そうと決まれば、早く研究所に戻って続きの準備をしなくっちゃ。帰りはまた、あのエレベーターに乗ればイイのよね?」

「はい。乗ったら1階のボタンを押せば、自動的に貴女の時空に帰れる設定にしてあります。」


「…まったく、大した技術ね。時空の調査で困った時は、相談に乗ってもらえるかしら?」

「もちろんですとも。私どもは貴女を応援し、その活動に投資したいと考えていますし、貴女のチカラもいずれコレクションしたいと思ってますから。」


「私なんて❝雪村の爪の先❞ほどの値打ちも無いのに?」

「それでも貴女は❝始まりの雪子❞ですから。」

「…そうね。そうだったわね。」


「じゃあ、私はこれで。京子さん、貴女もどうかお元気で。あんまり弓子さんを目の敵にしないでね?」

 それだけ言った後、雪子はさっさとエレベーターに乗って、その場から去ってしまった。


「さて、京子さん。」

 残された彼女にサン・ジェルマンが声を掛けた。

「これまで随分、真田雪子さんのことを嫌っていたようですが、今はどんな気分ですかな?」


「途方に暮れた様子の彼女を見た時は、正直、溜飲が下がる思いだったわ。…でも少し気の毒にも思った。今まで自分のやって来たことが、全部すっかり徒労なのかもしれないなんて。それは、なかなかショッキングな宣告よね?」

「しかしそれは事実です。そして彼女は事実が大好きなのです。」


「彼女、最後は吹っ切れた顔で帰って行ったわね。清々しいくらいに真っすぐな人だわ。お友だちになってあげてもイイかもしれないわね。」

「そうでしょうとも!貴女方お二人は、雪村君の居る昭和の時間軸以外では、実際イイ御関係なんですから。親友と呼んでもいいくらいにね。」


「へえ、知らなかったわ。彼女はそんなこと、一言も言わないし…。」

「あれで、結構シャイなところもあるんですよ。」

「よくご存じね?さすがは同位体が、彼女のパートナーだというだけのことはある…。」


「…ああ、それ、気にしますか?」

「別に。いいわよ、目の前の貴方さえ誠実な方ならね。」

「それは良かった。」


「私はまた折を見て、貴女の前にちょくちょく顔を出します。貴女の方から私に逢いたくなったら、このデバイスをお使いください。」

 そう言うと彼は、京子にペンダント型のガジェットを渡した。

「婚約指輪の代わりですよ。」

 それは一見、エメラルドのような緑の石がついたネックレスだった。


「その石を手に握っていただけたら、いつでも喜んで、私はすぐに貴女の元に飛んで参ります。」

「そう。それは楽しみね。」

「今後は過去でも未来でも、好きな所に一緒に行きましょう。幸いなことに、お互い不老不死ですしね。」

「そうね。気が向いたらそうするかも。」


「では、お出口までご一緒しましょう。」

 サン・ジェルマンはそう言って彼女の手を取ると、エレベーターまでエスコートした。

 そして彼が内部の操作盤を何やらイジると、また変な感覚が彼女を襲った。

 一階に着いたエレベーターから降りると、時刻は午前10時のままだった。


「では、よい一日を。」

 彼女をドアの外に送り出すと、伯爵はそう言った。

 だが彼は、エレベーターからは降りなかった。

 やがてドアが閉まり、彼を乗せたままエレベーターは下がって行った。


 あれっ、テレビ塔に地下施設なんてあったっけ?

 まあ、どうせまた彼が何かしら仕込んでいるのよね。

 京子はそう思ったのだった。


挿絵(By みてみん)


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