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セーラー服と雪女Ⅸ 「超時空の魔女」  作者: サナダムシオ


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20/22

⑳ 彼の正体の開示

「貴女の推理に、私から補足をいたしましょう。」

 サン・ジェルマンが話し出す。


「これから話すことは、私たちのチームが、長年時空を旅した中で観測した事実に、私なりの推測を加えたものです。」

「⋯。」


「ですから、貴女方よりも、経験豊富な年長者の見解として、参考にしていただけたらと思います。」

「⋯いいわ。話してみて。」


「結論から申し上げると、彼、つまり真田雪村の属性は、❝鳳凰❞なのです。」

「えっ?」

「我々の属性は、言うなれば❝人魚由来❞の不老不死。彼もまた不老不死なのですが、そこに至るプロセスが我々とは違うのです。」

「⋯それって?」


「彼はこの昭和の時代の後、平成、令和の時代を経て、85歳の天寿をまっとうして没します。」

「⋯。」

「火葬場で焼かれた彼の遺体は、骨の髄まで完全に灰と化し、それらは全て空気中に飛散しました。」

「⋯。」


「と、同時に、この時間軸からも消えてしまったのです。」

「そんな⋯。」

「私は他の時空の私たちに連絡を取り、その行方を追跡させました。」

「⋯。」


「その結果、元々彼の居なかったあらゆる時間軸に、貴女方が誕生したことを観測したのです。」

「⋯そうか。だから⋯。」

「つまり、貴女方、言わば❝真田雪子群❞は、彼を構成していた灰の一粒一粒だった、という訳なのです。」

「⋯。」


「彼の属性の別名は❝火の鳥❞。炎に焼かれて初めて、その不死身のチカラを発揮できるのです。」

「⋯。」

「⋯そして彼もまた、我々と同様、自然の摂理に逆らう存在なのです。」


「死んだら精神体になり、宇宙のアカシックレコードに接続できる存在になる。」

「⋯。」

「⋯そうして4次元、5次元の世界に行くのが生命の幸せのはずなのに、彼もまた、ソレに抗う存在という訳です。」

「⋯。」


「恐らく貴女は、無意識のうちに彼の欠片を集めて、灰になる前の彼を再構築しようとしていたのでしょうね。」

「⋯。」


「しかし、無数の灰になった彼の全てをかき集めることなど、不可能に等しい⋯お判りになりましたね?」

「⋯それでも私は⋯。」


「もちろん今後どうするかは、貴女の自由です。私の話したことは、先に様々な時間を旅した者からの、老婆心からの忠告だったと、心のどこかに留めておいて下さい。」

「⋯。」


 雪子は黙ってしまった。

 村田京子もまた、思いがけないタイミングで彼女の❝業❞のようなモノを垣間見てしまったようで、どう声を掛けたら良いのか分からなくなってしまったのだった。


挿絵(By みてみん)

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