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セーラー服と雪女Ⅸ 「超時空の魔女」  作者: サナダムシオ


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② 不死身の雪子

 暫くして、雪子が目覚めると、卓上の内線電話のスイッチが点滅していた。

 あれっ、ちょっと寝てしまったのかしら?彼女は朦朧とした頭のまま、そのスイッチを押して受話器を取る。


「はい。何かしら?」

「ああ、雪子さん、大丈夫ですか?全然応答が無いから、もう少しで非常手段を取るところでしたよ。」

 電話口の向こう側で、杉浦鷹志が心配そうに尋ねた。

「大…丈夫よ、たぶん。」

 雪子はまだボンヤリしている。


「雪子さん、もうワクチンは打ってしまいましたか?」

「ええ、ついさっき…。」

「そうですか。…実は僕、一つ大きな思い違いをしていまして…。」

 鷹志が突然聞き捨てならないことを呟く。


「あの、調合したワクチンなんですが…あれ、不老不死の秘薬というよりは、むしろ、不死身に近い状態になってしまうものでした。」

「それって、どういうこと?」

「つまり、ちょっとしたケガや病気ならば、超速再生してしまう類のモノでして…。」

「…。」


「まあ、要するに、雪子さんは今後、たとえ死にたくなっても、簡単に死ねない身体になった、ということなんですよ。」

 そんな鷹志の言葉を、相変わらずボンヤリとした意識の中で、雪子は聞いていた。


「…あ、ああ、そうなのね?」

 それじゃあまるで、マーベルコミックスのウルバリンやデッドプールみたいじゃないの?私もとうとう「人外の仲間入り」という訳ね。そんな風に思えたら、何だか愉快になってきた。


 電話口から雪子のクスクス笑う声が聞こえてきたので、鷹志はいよいよ心配になって来た。

「ちょっと、今からそっちに行きますよ?」

「どうぞいらっしゃい。地下2階のセキュリティは解除しておくわ。」

 まだ笑いながら、雪子が答える。


 エレベーターで鷹志が降りて来たころには、もう雪子はセーラー服に着替えて、しっかりと覚醒していた。

「大丈夫ですか?ホントに申し訳ないことをしました。」

「いいのよ。まんざら望みと違うというわけでもないもの。」


「立ち話も何だし、一緒に上に上がりましょう。」 

 むしろ快活に雪子が促す。

「…はい。」

 心配が拭いきれない鷹志が後に続く。

 二人は折り返しエレベーターで2階まで上がった。


「あれ?」

 エレベーターの中で、ふと鷹志が気づく。

「雪子さん、そんな瞳の色でしたっけ?」

「ああ、もともと茶色かったけど、何だか金色っぽくなったわよねえ。」

 彼女自身、先ほど自分でも鏡で確認して、ビックリしていたのだった。


挿絵(By みてみん)


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