4、麻由の探しもの
翌日、麻由が夢の中で見たというトンネルの所在地を探すため、趣味で自作したWindowsXPがインストールされている、自慢のパソコンが部屋にある僕の家に集まることになった。
椅子に座った僕がマウスを操作してインターネットの世界を巡る。
パソコンの操作の仕方すらほとんど知らない麻由と吾郎は顔を寄せ合い、目まぐるしく映るものが変わっていくモニターを不思議そうに眺めていた。
麻由の話ではそのトンネルには家族で一度、車で通ったことがあるとのこと。
だけど、その時は通り過ぎるだけで停車して降りることはなかったという。途中からカーブがあり、点滅している照明があってそれが印象的に残っているそうだ。
実在するトンネルならば、見つかる可能性は十分にある。
僕は遠方より近場の方が可能性は高いだろうと思い、それほど遠くない距離にあるトンネルから順に麻由にトンネルの画像を見せていった。
写真を見せたら現地に行きたいと言い出すに決まっている。
そう思っているからか、吾郎は煮え切らない複雑な表情を浮かべていた。
僕も同じことを考えていたが、麻由に意地悪をしたくはない。
一度、気になった事を簡単に諦めてくれる性格ではないから、僕は麻由が納得をして諦めてくれるよう、時間を割いて調べていった。
調べ始めて三十分、麻由が一つの写真に目が行き指を差した。
吾郎はそれを見てピクリと反応した、その場所が心霊スポットとして曰く付きになるほど、有名なトンネルだったからだ。
心惹かれていくように「ここだよここ」と何度も口にする麻由。
僕はゾッとするような気味の悪さを覚えた。
これでは怪しまれると思い、トンネルの写真ではなく、麻由の瞳をじっと見つめた。
長いまつ毛の下の瞳に映るトンネルは麻由を深淵へと誘っているようなざわめきを引火させる。もう僕達の事なんて見えていないみたいに。
霊感を持つ麻由がこれほどまでに反応してしまうのは後から考えれば必然であったのかもしれない。
僕が「本当に間違いはない?」と麻由に聞くと「間違いないよ」と返事を返した。
案の定、その後に麻由は「ここに行かなきゃ、きっと私の事を待ってるから」と声を上げた。
”一体、何が待ってるというのか”
僕も吾郎も恐ろしい想像に支配され聞いて確かめることは出来なかった。
ネットに情報が流出しているほどの心霊スポットに連れて行くのは気が滅入る。
その見解は吾郎も僕も同じだったが、今から諦めさせるのは容易な事ではない。
最後には吾郎が目的地までの道案内について「俺が兄貴に頼んでみる」と諦観を込めた言葉を絞り出し、この日の会話を締めくくった。




