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第5話

ギギギィィィィィ........ドンッ!


「ここが魔王ユグドラシルが眠る墓......」


神殺し『フェンリル』が守っていた扉の向こう。その部屋は円柱上で中心に棺があり、それ以外は何もなく、ただ、埃が大量に積もっていた。魔王が封印された時からだからおそらく古の時代からだろう


(そういえば女神さまは解放してほしいって言ってたけど、どうやって開放するんだ?)


とても大事で重要なことを女神さまから聞き忘れるポンコツ男.....それがナーユであった。


ナーユは試しに棺の蓋を開けようとどれだけ力を入れてもびくともしない。


それもそのはず、この棺には.....というかこの部屋自体が超高度な魔法的な封印結界として作用している


近くで魔力の動きや色を目を凝らして見てみるとより鮮明に分かる


(これはッ.......このレベルの魔法陣はもはや芸術だな)


前世では、芸術なんて全く興味がなかったがこの人生では魔法という芸術に毎日浸ってきたナーユは感心しつつ、ふとあることに気づく


「これ.......俺が使う『四属性強化魔法エレメンタル・カルテット』に似てるような」


鑑定魔法でこの部屋全体を鑑定する


______

六属性大規模封印結界魔法

火、水、土、風の四属性に加え、光属性、闇属性の軽6属性から構成された最高硬度を誇る封印結界。これに封印されたものは、この結界の一部となり永久にその封印が解けることはなくなる

____________


「ッ!?なっっって魔法だ!!」


説明欄を見てナーユは恐怖する。

つまり、この結界魔法は封印した対象の魔力を使い長い長い年月を解けることなく維持され続けているのだ。しかし、それでは対象の魔力が尽きればこの封印は解ける。そうならないということは更に吸収するだけでなく魔力を強制的に循環させることによってそれを可能としている。


「文字通り.....この結界の一部にされているってわけか」

(クソったれが!)


瞬間ナーユの心にどうしようもないほどの怒りが溢れだす。


「この結界の弱点はその芸術的なまでに構築された魔法陣にある!なら、その中で一番脆い箇所をまったく同じ属性、寸分狂わぬ魔力量をぶつければこの封印はエラーを起こし崩壊する!!」


鑑定魔法を全開にして自身の魔力を最大限まで高める


「ここじゃない......ここでもない、ここでも!............ココッ!!.....あとここも!」


時間にしてわずか数分.......

ナーユはこの部屋全体に施された結界の脆い箇所を94か所発見する。


「絶対に助ける!こんなのは間違っている!!絶対にだ!!」


94か所.....その全てに合わせた属性、魔力量を合わせ同時に差し込む。


その瞬間、この部屋の中にあった魔力はフッ.....と消える。そして、遅れてガラスが砕けるような音と共に部屋中に施された封印結界魔法はすべて解除された。そして全魔力を使い果たしたナーユは意識を失いバタリと倒れてしまう


♦   ♦   ♦   ♦   ♦

周囲を見渡すと6年前のあの日に、無茶をしたナーユを保護しこんな無茶なお願いをしたあの女神がいる神界だった


『ありがとうございます。あなたは見事私の頼みを達成しましたね』


「時間にして約6年。かなり時間はかかってしまいましたがね。そういえばユグドラシルは?」


後ろから声が聞こえるからナーユはその声の方向へ振り返り尋ねる


『それは.....クスッ//あなた自身で確かめた方がいいでしょう』


「は?なんでだよ」


『その方が面白いからです。あと、これまでの戦いによって生じた傷は特別に治癒しておきました。それと.......私の娘はとても可愛いです。くれぐれも泣かせないように』


「え!?ちょ、それどういう.......」


『それではまたいつ.......』


そこでナーユの視界はぼやけ意識が遠のいていった


♦   ♦   ♦   ♦   ♦

「う、うぅ~~ん......」


意識がどんどん覚醒してくる。重い瞼が目を開くこと拒もうとする。フローラルな香りのする柔らかな枕に頭を乗せ、もう少し寝ていたいという欲に駆られる


(ん?柔らかな枕?)

「っ!?」


「キャッ!」


思わず勢いよく体を起こすとかわいらしい女の子の短い悲鳴が聞こえる。振り返るとそこにはとてもこの世の者とは思えないほど美しいウェーブのかかった金髪と翡翠色の目をした少女が正座をしていた


「え.....ご、ごめんなさい」


その様子に思わず謝ってしまう


「あなたが私を助けてくれたのよね。ありがとう」


鈴の音のような声で感謝を述べる。その一挙手一投足に心が弾む


「っということは......あなたが世界樹....」


「そう、私は女神ノアの娘にして世界の安寧を願う者。そして、邪な醜い心で他種族を害した人種を滅ぼす魔王よ」


笑顔でそう言う少女が発する雰囲気はやはり見た目のような子供ではないと物語っていた。


「そのことなんだけどね........その役目俺が受け継ぐよ」


「え?」


あまりにも突飛な言葉にユグドラシルは目を見開いて驚く


「俺は元人種だ。今は人神なんて種族になんているけどこれは俺たち人間がどうにかしないといけない問題なんだ」


だから、と言葉をつづけ


「俺に人種を滅ぼす役目をやらしてくれ」


「..........」


そんなナーユの言葉にユグドラシルは黙り込む。そして、しばらく考えた後ナーユにこう問いかける


「あなたに人を殺す覚悟があるの?」


(そんな問い、答えなど6年前このダンジョンに放り込まれた時から.......女神と話したときから決まっている)


「あぁ、俺にあいつらを滅する役目をくれ」


「いいでしょう。では、その誓いを此処に記しましょう。私の愛しき人よ」


________

魔王の代行者

魔王ユグドラシルからその役目を受け継ぎ、人を滅ぼす魔王になった者

_______________


そう言うとユグドラシルはナーユへ顔を近づけ、口づけを行う。そして、ナーユのステータスには新たな称号が与えられるのだった

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