第4話
ラスト100階層最奥目前というところである一匹の魔物に阻まれた。
その名も神殺し『フェンリル』そのランクは鑑定眼で見ても黒塗りや文字化けしてみることすらできなかった。幸い魔王の墓へと続く扉を守っているようで一定の距離以上からはこちらを追撃してくることはなかった
そのおかげで満身創痍ではあるがギリギリ死なずに済んだ
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「ハァっ、ハァっ、ハァっ.........」
(くそ!なんだあの出鱈目な強さ。これまでに戦った魔物もかなり厄介だったがフェンリルはそのどれよりも厄介極まりない)
「神聖魔法『女神の聖なる吐息』」
ナーユはかすかに残った魔力を使用し、オリジナルの回復魔法を使用する
この魔法を創成するのに想像したのは魂を一時的に神界で保護された時。その時の温かな何かに包まれたあの感覚だ。思った通り。いや思った以上の効果があった。傷だけではなく状態異常さえもこの魔法で解くことが出来るのだ。
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「俺はこの戦いで使えるものは何でも使った。強化魔法も全属性だ」
現状最強の強化魔法である。火・水・土・風の四属性の強化魔法を同時に使用する『四属性強化魔法』や、それとプラスして光属性の魔法すら多用した
「このダンジョン攻略難易度高すぎだろ。そりゃ王家が厳重に封印するわけだよ」
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あれから更に一年.....
戦っては敗れ、回復しては戦ってを繰り返すうちにあることに気付く
それは回復魔法の光を嫌っているという事だった
戦闘中に深手を負い、とっさに回復魔法を使った時。激しい攻撃が止み、追撃がなくなったのだ。そこで気づく魔物とは邪悪な存在。それと対を成すのは聖なる魔法....つまり回復魔法だ
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それに気づきてからは回復魔法の属性....聖属性の攻撃魔法をいくつも想像した。
準備に準備を重ねること半年......
「1年と半年.....ようやくお前の顔も見納めだ。クソ番犬野郎!」
『グゥゥ~~グヲヲオォォォン!!!』
フェンリルはナーユに応えるかのように吠え、お互い戦闘態勢に入る
「........」 『グゥゥ~~』
数瞬、数秒、数分.......お互いがお互いの出方を伺い睨み合う。
「ッ!」
先に動いたのはナーユ。『四属性強化魔法』を発動させ聖剣には聖属性の強化魔法を纏わせる
ザシュッ!
『グゥヲ!?』
(手ごたえあり!)
振り下ろした聖剣に今までにない手ごたえを感じる。しかし、次の瞬間怖気がナーユの全身を襲い遅れて右からすさまじい衝撃が走る。そう感じたのも束の間、次は壁に激突する
「カハッ!」
(クソ!油断した)
「癒しの矢『ホーリー・アロー』!×50」
追撃してくるフェンリルからいったん仕切り直すため聖属性魔法を放つ
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(いったいどれだけ時間がたっただろう)
剣を振り魔法を放ち、傷を追えば回復し.....しかし前回までとは違いフェンリルも相当のダメージが入っている。今回に限っては前回までとは違い勝算がある
『グヲヲヲヲォォ~~!!!』
魔力がこもった遠吠えが放たれる。それから身を守るため聖属性の魔法障壁を全面に展開する。遠吠えによる攻撃を何とか凌ぎ、次の攻撃を仕掛けようとするとフェンリルの口にはこれまでとは比較にならないレベルの魔力が集約されているのが感じられる。
「ッ!?」
(やばい!来る!!)
その瞬間ナーユの全身が危険信号をビンビンと送る。それを感じ取ったナーユも同じく手を前に掲げ、持てる限りの魔力を聖属性に変換する
「貫け!『神聖砲身』!」
溜めに溜めた聖属性の魔力は極太のレーザーとなり放たれる。それとほぼ同時にフェンリルも魔法を放つ。お互いの魔法が衝突した瞬間この一帯が真っ白な光に包まれ、遅れて激しい衝撃音が轟く
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「はぁ、はぁ......俺の、勝ちだ!!」
そこに立っていたのはナーユだった。傍らには半身を失った神殺し『フェンリル』。
徐々にその体は崩壊し、魔石と化した。
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どれ程休んだだろうか
消耗した魔力と長時間に及ぶ戦闘で傷ついた体を癒すため扉の前で休息をとることにした
「この聖剣もかなり酷使したな」
そう言いながら聖剣エクスカリバーを見つめる。所々刃こぼれが生じており、どれだけ激しい戦闘だったのかをこの件は物語っていた
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ケガを癒し、魔力と体力の全回復を確認する
「ついにこの時が来たか.........あの日からざっくり、6年半か」
そんな思いに耽りながらも最後の扉、魔王が封印された墓地へと続く扉を開く
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人間は醜い。この世界は誰のものでもないはずなのに人間は我が物顔で他の種族が住む土地を荒らし、奪い、殺した。
こんなことあってはならない。この世界は平等だ。人種だけが優っているわけではない。私も女神も、すべてに平等である
ニンゲンはツイに超えてはナラナイ一線ヲコエタ。
許さない、許さない、ゆるさないユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、
.......:......絶対にコロシテやる