第二章 襲撃
僕は大通りへ駆けていった。
するといきなり、「うっ!!」という声とともに、大人がぶっ飛んできた。僕は大人をギリギリで避けたが、大人は平気じゃなさそうだ。まわりには同じような大人が十数人転がっている。
……ひどい状況だ。建物が全壊しているところもある。この魔物でどのぐらいの被害額がでているのだろうか。
僕はゆっくりと、魔物の方へむく。
魔物は2メートルぐらい、顔は鳥で、尻尾は蛇。
「これは、、バジリスクかな?」
初めて間近で見た。本では1メートルほどと書いてあったが、こんなに大きなものなのか?そしてバジリスクは南部地方によく出てくるものだろ?真逆の方角にでてきてしまったのかよ?
そんなアホな…と考えている内にバジリスクは建物をガンガンぶっ壊していた。
まずい。どんどん被害が広がってしまう!大技出して一発で決めるか。たしか鳥系の魔物に効く魔術は……よしっ
いくぞ!
「ファイヤーローブっ!!(魔物だけを燃やす炎の矢)」
「クワァッ!!」
ドッシンッという音とともにバジリスクが倒れた。
たっ、倒した!
すると周りから大きな歓声が響いた。
「スゲェよテイム!」「まだほんのガキなのにな!」
いや、みんな知らないかもだけど、魔法の中でも基礎中の基礎のものだけどね。
けれど、何故こんなところにバジリスクが来たのだろうか。確かバジリスクは寒いのが苦手だったよな、じゃあ北部に来ることなんてないはずだし…、、あ、バジリスクは知能が低いから間違えて来たってのは?!
いやありえんか…と考えていたら、周りの歓声がなくなっているのに気づいた。
すると人々の間から黒いフードを被った見慣れない人たちが歩いてきていた。一人の町民が、
「すいません、今さっきまで魔物と戦っておりまして、今は旅人の方を迎えられる状況ではない……ぐはぁっ!」
黒いフードの集団の先頭に立っていた人が、話しかけていた町民を殴って5メートル程遠くへ飛ばした。
………何が起こった?
みんな何が起こったのか把握できず、ぽかんとしている
一番に状況を把握したガラの悪い若者が、
「おいおいっ!いきなりなんだテメェっ!」
と、町民を殴った先頭の人の胸ぐらを掴んだ。
すると、瞬きする間に若者がなぜかぶっ倒れた。白目をむいて失神しているようだ。
「あーあ、ここの連中は喧嘩っ早いね。さっさと片付けちゃおうか。」
黒いフードの集団の先頭がそう言うと、みんながフードを降ろした。その顔を見てみんなが驚いた。僕もだ。
その集団…いや、そいつらはみんな角をはやし牙を持っていた。そう、そいつらの名は…
「「「魔族だぁっ!!!!」」」
怯えた声で町民たちが叫んだ。
その声を愉しむかのように魔族たちは人々を襲っていく。
〜魔族〜
100年ほど前に誕生した人間の姿に魔物のような牙、角をもった種族。人類とは相性が悪く、戦いは日常のように行われていた。けれど、最高権利者が生まれてから急に戦いをやめ、静かに暮らしていたという。