第一章 老夫婦との出会い
おじいさんが僕を連れて行った先はゆったりとした古民家だった。
「あら、おかえりなさい。今日は冷えたでしょう。お風呂、すぐ沸かしますから」
と言いながら玄関に出てきたのはおばあさんだった。
なるほど、今日からこのおじいちゃんおばあちゃんの介護をするということですね。顔を覚えなきゃ、と毛布から顔を出すと
「まあっ!?おじいさんこの子はどちら様?こんなに汚れちゃって…」
と驚いたように僕の顔を覗いた。奴隷のこと話してなかったんだ、まぁまぁ、無責任なおじいちゃんだこと。
「驚かせたね。この子は路地裏で売られていたんだよ。
今にも死んでしまいそうな顔つきだったから放っておけなくて…」
「はぁ…」
おじいさんが申し訳無さそうに言った。そのあと、呆れたようにおばあさんが答えた。
なんの話ししてんだろ、
僕の頭の中に?マークがたくさん浮かんだ
「君もいきなりで何がなんだかわからないだろう。」
僕はゆっくり頷いた。
おじいさんはニッコリ笑って
「今日から君はわしらの家族だ!!!」
「えぇっ!?」「はい?」
おばあちゃんは驚き、僕はさらに?が増した。
おじいちゃんはなんの話をしているんだろうか。僕を奴隷として買ったけど、ちょっと可愛そうになっておばあちゃんに言い出しずらくなったのかな。そこで僕は
「ぼく、奴隷として買われるのでも十分ですけど。」
と僕なりの気遣いをした。
すると、おばあちゃんは困ったように笑いながら
「まぁ、別に家では奴隷は必要ないから大丈夫よ。子供が欲しかったって言ったのは私よ。でもおじいさんがこんなにも早く私の要望に答えてくれるとは思わなくて…」
といった。
「ばあさん、わしはいつでも、君の一番頼りにできる存在になりたかったんじゃ」「爺さん…♡」
わぁ、すっごいラブラブだ。この年までラブラブなカップルってレアじゃね?
「あ、じゃあ僕家族でいいんですか?」
ラブラブが長引きそうだったので早めに聞いた。
「ああ、構わないよ。上の部屋は好きに使ってくれ」
おじいさんが僕に言った、
「えっと、名前もないんで、呼ぶとき大変だと思うから考えてもらえると幸いです。」
「ああ、そうか。」「じいさんじいさん。『テイム』はどうかしら?」「ああ!いいね!」
おじいさんとおばあさんが30秒間放し合って、
「では、『テイム』でどうかな?」
と2人で言った
おお、いい名前だ。「あ、じゃあそれでお願いします」と言うと
「じゃあ、宜しく!テイム」
とおじいさんが言って、またおばあさんといちゃいちゃしだした。
僕はすぐに上の部屋に向かった。上の部屋にあったのは、ホコリを被ったベットと、よくわかんない本と、クモの巣…。
これは掃除が捗りそうだ。と自分に言い聞かせた。