ゆめのなか
このごろ感じていることを基に
最近奇妙な夢をみる
日が照っている。まるでつまらない映画のように。そこには誰も居なく、ただ一人、茜の陽がそばにいるのみである。
ここにいるのは誰だ。私ではない。半透明な身体から透けて斜陽が身体に差し込まれている。
黒くて大きいなにかがこちらに迫ってくる。なんだあれは。
もしかしたら、私は夢の中で死んでしまったのかもしれない。
じっとりと不快な汗をかいて目が覚めた。
外は嫌味なほど晴れあがっていた。今の私を嘲笑うかのような快晴であった。
とにかく汗が不快なので風呂に入り、意味も無く外を歩く。
左脚が無くなってしまった。先ほど歩いたときはあったはずなのだが。これ以上身体が無くなるのは困るので、バラバラになってしまわないように慎重に息を続ける。
ふと、空を見上げると大きな入道雲が私を包んでいた。そこには私の左脚があった。私の身体にいるときよりもそこにいる方が心地好いようだ。ならばそこにいればいい。私は右脚だけで地を踏んで生きてゆくのだ。
焼けたアスファルトの匂いを大きく吸った。口内に風が入り込み私の呼吸器を持っていってしまった。必要最低限の動きと力で極めて精巧に。
持っていけばいい。そんなに欲しいなら持っていけばいい。そんなものがなくたって生きていくしかないのだ。
また、夢を見ていたのかもしれない。