第三章 第二節 黄金竜
そこには黄金の鎧を纏ったヴァルナがいた。
「まことにご苦労であった。約束だ。受け取るがいいヴァルナの鉾を」
それはまごうことなき美しい三又の鉾。
ミスラの剣を置く。
すると現れたのは光の鎧をまとった光の神。
「ヴァルナ、すまぬ。またも魔の力に負けてしまった」
「よい、我とて同じ事。罪は行動であがなえばよい」
「修羅剣もあるということはいよいよ」
「そうだ。我々の真の姿を見せるときだ」
答えたのは剣から現れた黄金の衣を纏いし武装した三面六臂の光につつまれた剣士。
「勇者ファリドゥーンよ。ヴァルナの鉾を放さないで欲しい」
「はい。神様」
――三つの神器を真の姿をみせよ!
三人の神が同時に呪文を発し、魔法陣を作り出す。
三つの神器が光り輝く。
光は見る間にヴァルナ神殿を包み込む。
三つの剣が斧のような形をした剣に姿を変えた!さらに剣斧からすさまじい光が発する。
ヴァルナ神殿が大きく揺れた。大きな陥没音がこだまする。
光が消えるとそこに現れたのは金色の鱗を纏った三首の黄金竜。
(あれ? なんか高いところにいるぞ?)
そう言い出し、自分の手を見て仰天する。
なんと黄金の鱗をまとった六つの手のうち二つを自由に動かす自分の姿がいた。
――心配しなくともよい。念じればすぐに解ける。
するともう一回光の玉が爆発した。
元の三神と勇者の姿に戻った。
「勇者よ。この姿は闇の最強の『武器』とは対をなすもの。闇も三口、三頭、六眼をそなえる竜をもって反撃するであろう」
ミスラが答えた。
「時間が無い。東北部から人間が最後の反撃に出ようとしている」
「何、心配はない。私も勇者の力となって竜となって戦ったことがある。アルトゥスの伝説を忘れたか、勇者」
「あっ!」
「今度はインドラには負けはせぬ。なにせ三神と勇者がいるのだから」
「はい」
「急いで王都に攻め入る解放軍を支援するのだ、勇者」
再び黄金竜の姿となった勇者と神々。
その勇姿を見送る巫女がいた。
「お気をつけて……」




