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暗黒竜の渇望  作者: らんた
第三部 暗黒竜の絶望
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第二章 第三節 自衛軍の敗北

 封印した石を重力の石を闇色の重力の石でもって反発させた。するとまるでガラスのように空間が割れていく。


 「進撃だ! 狙うは海峡の向こうの国々だ!」


 一気に進撃していくマルダース国の魔軍。さらに竜用の「空港」から次々飛び立つ武装した竜や竜人達。


 人間はなすすべもなく魔物の爪に引き裂かれていった。


 北方のトランシルヴァニアには草原に人間の死体が無数に転がっていった。


 本来、大昔にトランシルヴァニア人らが忌むべき国として封印したジラント王国に封印を無効化するタブレットを持って逃れる者があとを絶たなかった。その難民をマルダース軍が許すわけが無かった。


 「人間牧場の家畜が逃げていくぞ! 追え!」


 封印した空間が割れていく。もはや封印など無意味であった。


 「なんだこの線は」


 蠍人軍の1人が電線を切る。切ったとたんに感電死した。だが、付近一帯の送電網が次々停電していく。


 「ふふん、これは一種の魔力を使った供給路だな。おい! 撃て、撃って切ってしまえ!」


 蠍人の将軍が命じた。次々切られていく送電網。ジラント王国の住民がパニックに陥る。


「今だ! 進撃開始!」


 迎え討つジラント王国の竜鳥部隊はマルダース竜軍が空から撃墜していく。実戦経験のない空軍部隊など勝負にならなかった。魔肉を食べさらに進化を遂げていく竜軍の戦士達。陸上では人間と半魔と虎人部隊が応戦した。が空から、陸からのマルダース魔軍の進撃でジラント王国軍が全滅した。その後ろにいた難民の運命は……。分かりきっていたことだった。あたり一面には血の海と化した。


 「送電網の中間地点と思われる施設を発見!」


 熊人部隊が発見した。


 「魔法で攻撃して破壊しなさい。人怪軍!」


 いびつな一つ目の人が杖を持っている。一斉に魔法を唱え、施設を爆発させた。一気に停電となった。

 

 「このあたりに魔法の源があるはずです。それを破壊すればこの大地は魔の大地になるでしょう。元々この力は冥土の物質……。つまり大魔の血肉と同じ物質を利用して雷として使用しているだけでございます。我々にしてみれば進化の源です。地震魔法で壊滅させましょう」


「やってしまいなさい。二千人部隊で一気に地震を起こさせるのです」


 ジラント王国に停電と地震が同時に襲った。首都カザンも同様であった。パニックになる住民。逃げ出す人間や魔たち。


 発電所と呼ばれる施設は送電網によって冥土物質のコントロールが一時不能になった


 「緊急電力発動!」


 人や魔族の職員が悲鳴を上げながら対応に追われる。


 「石炭をくべろ!」


 緊急用ディーゼルが稼動した。冥土物質の暴走が止まった……。


 「すぐに通信機で王に伝えるのだ! 発電所が攻撃対象になったと」


 通信機は王室にいたマオに事情が伝わった。


 「王よ、お伝えいたします。さきほどの地震によって発電所が壊滅。緊急時に備えた石炭ディーゼル機によるエネルギーによって冥土物質の暴走は停止!」


 ジラント王がこれを聞くやいなや議場に向かい、議会で全土に戒厳令を発令した。


 同時にジラントが宣言する。


「連合国家の一つである東アフガニスタンを国から離脱させる。皆のものをそこに移住させるのだ!」


「そして独立国となった西アフガニスタン国からインド方面を経てマルダース、いやペルシャ全土に進撃する!」


 「王! 我々は魔と人間が住む国です。封印が解かれた状態ではインドの国々から悪魔の国として攻められるかもしれません!」


マオが必死に懇願した。


 「その通りだ、近衛兵マオ。いや、影の総理マオよ。お前は正しい。ならばお前がこの緊急事態を説明するのじゃ」


 「はっ」

 

 一方ミスラ神殿廃墟に向かう白き竜。空から見るといつもより魔軍の数が少ない。


(おかしい……)


 おかしいとおもいつつもミスラ神殿廃墟近くで竜の姿を解き、人の姿に戻る。


 長旅で疲れた。日も沈む。今日はここで休もう。


 ファリドゥーンは民家を探すことにした。


 竜鱗剣を解き放ち、魔物らを警戒しながら己の拠点を探る。日が沈むとまずい。日が沈むと魔物の力も増す。その時はもう一回竜になって引き返す必要がある。力は温存しなくては。


 魔法陣を張ると勇者は眠りについた。


 新たな戦いが待っていた。


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