第一章 第五節 闇に生きて
洞窟に帰ってきた直後、闇から現れしザリチュは帰ってきた俺を褒め称えた。
「よくやった。新しき闇の者よ。闇の竜は闇の者でも最強の証。そなたなら将来暗黒竜王アーリマンの一部となれるであろうぞ」
「ありがたき幸せ」
「ところでお前の新しい名を決めなければならぬ。お前はもう人ではないのだから人間時代の名前も捨てるのだ。どうだ……? 『タルウィ』という名はどうだ? 我らダエーワ族にとって優秀な闇の炎竜という意味じゃ」
「ありがたく頂きます」
その言葉を聞くとザリチュは闇の祝福の呪文を唱えた。
دانه های تاریکی را پراکنده کنید. پراکنده کردن آن را به زندگی است. و میوه را درو کنید. سپس، زندگی شما نیز ثمربخش تر می شود. رنگ همه چیز تاریک است.
(闇の種を植えろ。命に植えるのだ。そして成熟した命を刈り取れ。さすればそなたの命もさらに爛熟する。森羅万象全てを闇へ彩めろ)
するとタルウィの翼の先端がより鋭利なものへとなった。
تشنگی خود را به تاریکی فراموش نکن
(闇への渇望の伝授こそ我らの命)
ザリチュはタルウィにさならる祝福を与えた。
タルウィは思わずぞくっと来るものを感じた。
タルウィのその姿を見てザリチュは口を歪めた。そしてザリチュはそっとタルウィの躰を何度も撫でた。
こうして新しい闇が誕生したのであった。
「無になれ。無こそ至高」
そう言いながらザリチュはタルウィの躰をそっと撫でていた……。タルウィはその言葉が……呪文では無いにも関わらず古き咒術の言葉にも祝福の言葉にも聞こえた。その愛撫は苦痛と歓喜の一突きの槍のように感じた……。




