第六章 第一節 修羅剣との出会い
カーグ藩王国は魔のものどもが集うとされた北にはアルボルズ山脈が見える位置にいる小国である。アルトゥスは母国アルメニアに帰る前に石の杖を光の剣に変える修羅剣があるカーグ藩王国の墓地に寄る。
カーグ藩王国は人々がようやく城も街も再建している段階であった。いまだにいたるところに竜の爪あとや尾によって破壊されたあとがあり、暗黒竜の恐ろしさが伝わった。城の中も見事に壊れ、大工が必死に復興活動にいそしんでいる。厩に馬を置くと従者が王の謁見室を案内してくれた。とはいえそこは天井が崩れたただの空間であった。
俺は王に謁見した。王はもうカーグ一族直系ではなく、隣のマルダース王国から政略結婚で結ばれた姫の子であった。この国もじきに隣のマルダース王国と合併するという。といっても両国ともに魔の侵略よって滅亡寸前という中での併合であるらしかった。ここは光の神々から最も遠い暗黒に近い地域なのだ。王は大神官の親書を見るや否や警戒心を解き、さっそく墓所に案内した。
そこに「カーグ十四世ここに眠る」と刻まれた石があり、あのカーグ少年が眠っている。そしてそこに刺さっている剣があった。俺は自分の持っていたミスラの杖をかざした。
だが、何もおきなかった……。
「ふむ、何かが足りないのか、ただの言い伝えかもしれませぬ。勇者よ、今日はこのあばら家としか言えませんが、この城に泊まっていただけないでしょうか。遊牧民族との貿易は国を強くします。我々はむしろ遊牧民の王と貿易協定を結びたくむしろ貴方に親書をお渡ししたいのです」
破壊された城でつつましい宴会が開かれた。破壊されたとは言っても無事な箇所もあるわけでそこは立派に復権し王城に相応しい場所であった。見たこともない豪華な陶器の上に料理が載りにグラスにワインが注がれる。みんなが見てる前で親書を受け取った。ずしりと心が重くなる。
歓談の席で王に遊牧民族の王国が暗黒の大蛇に滅ぼされたことなどを伝えた。王は酷く嘆き悲しんだ。そこに突然藩王国を束ねるペルシャ帝国の軍が城に迫ってきた。城は突然のことで大混乱に陥った。壁にかけてた武器を手に取る。
軍の大将が城に入り宴会の席に乱入した。軍靴の音が鳴り響く。
「ペルシャ帝国の反逆者アルトゥスを出すのだ!」
軍靴の音が鳴り止むと今度は剣を抜く音が次々する。




