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12人の少女 最終計画  作者: ヤマネコ
始まり
8/164

2020 9/1(8)

よろしくお願いします。

2人で食後にアイスクリームを食べていると、エントランスの入り口から何人かが入ってきた。


緋色「いや~面白かったな~」


明坂「違うわよ、あれは私の勝ちよ。亜李は寝ぼけるのが早いわね」


茅野「わっはっは、何を言うかと思えば負け犬の遠吠えですね」


明坂「なんですって~~!」


緋色「いやいや、あれは亜李の勝ちだろ。何言っているの」


明坂「だって勝負中に変顔をして笑わせにきたじゃない!あんなの反則よ!」


茅野「くしゃみが出そうで出ないを繰り返していただけですよ…それを反則とは…。あらあら沙耶?絵美ったら反則の意味が分からないようよ?困ったちゃんですね~」


茅野が明坂をツンツンと突くとそれに怒った明坂が茅野を追いかける。茅野は緋色を盾にしてグルグルと緋色の周りを走ることで逃げている。明坂も茅野を追いかけて緋色の周りをグルグルと追いかける。緋色は台風の目のようになっていた。



清水「私達が深刻に考えすぎていたのかしら…」


独り言だと思って無視した。3人が清水と理科に気付くと声をかけていた。


緋色「よう朝倉、何していたの?」


理科「清水さんと話しをしていたの」


緋色「清水? あぁそのちんちくりんか。これからよろしく」


清水「…私はちんちくりんじゃないわよ、ただまだ身長が伸びていないだけだし」


緋色「私1年生、清水は3年生なのに身長ほぼ一緒って恥ずかしくないの?」


清水「人の外見で馬鹿にするような人の方が恥ずかしい気がするけどね~?」


緋色「なんだ、しっかり話せるじゃん。おい絵美、亜李。あの時はいきなりでびっくりしてああなっただけで、清水はそこまで嫌な奴じゃないよ」


明坂「沙耶、その確認方法いつか友達無くすわよ?」


緋色「それで切れるならそこまでの関係だったんだよ、一度距離を取って切りたくないと思ったら切らないようにして、切りたいと思ったら切ればいいんだよ」


茅野「その考えは否定しないけど、言う相手は気をつけなさい。相手によってはあの手この手で孤立させてくるわよ?」


緋色「あの手この手で孤立させようとする奴に付きたいなら付けばいいさ」


清水「なんていうか…男らしいわね」


緋色「男らしい女らしいって言葉嫌いだから二度と私の前で言うな」


さっきまで揶揄う口調で話していたが、清水が言い返すと怒気を含んだ言い方で答えてきた。清水も何か地雷を踏み込んだと思ったようで


清水「そう。気に障ったなら気を付けるわ」


緋色「…ふん」


そう言って緋色は自分の部屋に戻っていった。明坂と茅野も自分の部屋に戻ったと思うとまた出てきてボードゲームが置いてあるところに向かい、何かのゲームで遊び始めた。


清水「…そこまで悪い奴じゃないのかしら…理科は緋色さんのことをどう思う?」


理科『今の時点ではなんとも…。私達に危害を加える気はなさそうでしたね』


理科には「予感」があるから最悪清水を見捨ててでも自分の身の安全を確保することはできるだろう。本当に効果通りの力だったらの話だが…。誰かが面白半分で今のふざけた状況を作って力を使ったりしたらいい道化だ。


その後に伊藤・椿・奈那子・宮永の4人が帰ってきて、星名と楓の2人が帰ってきた。


瀬奈は相変わらず部屋に籠っている。


清水「瀬奈さんが気になるわね…。部屋で何をしているのかしら…」


理科『ファッションの研究とかじゃないですか?』


清水「…ありえるかもね」


理科『お腹空かないのかな』


清水「それもそうね…。チャットで打ってみるわね」



清水が画面に指を走らせて素早く文字を打ち込んでいる。文字を打つ指が早くて残像か?と思わず思ってしまう。


清水「…既読なし…。寝ているのかもね」


理科『こんな状況で寝ているのもすごいですね』


清水「私みたいに取り乱した後につかれて寝ちゃったのかもね…。夜まで起きてこなかったら部屋に行ってみましょう」


その後、理科は自分の部屋に戻り休むことした。清水も自分の部屋に戻ったようだ。






理科「ふぅ…」


ベッドに横になってスマートフォンを突きながら他の11人の情報を見返していた。

1年生が楓・緋色の2人。


2年生が理科・伊藤・星名・奈那子の4人。


3年生が明坂・茅野・清水・瀬奈・椿・宮永の6人。


今の所清水としか満足に話せていないが、一緒になったばかりの人と遊びにいくようなものだろか…。新学年とかなら分からなくもないが、今は2学期初めの9/1…。こんな中途半端な時期に突然接点の少ない人たちが集められてすぐに一緒にどこかに行けるものだろうか…。


理科(友達が少ないからそう考えているだけ…? もしかして夏休みで10人がどこかできっかけが合って親密になったとか…)


それなら十分にあり得る話だ。理科は夏休み中、ほとんど外に出ていない。外に出たとしても1時間もいない。本を買いに行ったり、ビデオを借りに行ったとかで人に会いに行く類の外出は1つもない。


理科(もしかして…社巫女さん私に嘘をついている?)


あの泣いているところは全て演技で、他の10人も芝居を打っているとしたら…


理科(いやいや、そんなことをする理由がないはず。私は同じクラスの伊藤さんと保健室登校同士の星名さん以外接点がないし…。伊藤さんか星名さんどっちか…あるいは2人とも私を嵌める気なのかな…。嵌めるって何を…? 私を…? そんなことをして何になるのか…)


同じ考えがずっと頭の中を駆け巡る。そんなことあり得ないと思っても否定できる根拠や証拠がないと人は安心できないもので…。


理科(…本当に社巫女さんを信じていいのかな…)


段々と不安になってきた。9割はそんなことをしても何もないという考えだが、1割は私の知らないところで何かがあって私を嵌めようとしているという考えがあり、1割の方を強く意識してしまう。


理科(やめよう、考えてもどうにもならない)


頭をブンブンと振ってこの悪循環を無理やり断ち切る。


他のことを考えようと能力が書かれたページをジッと見ていた。


理科(回復、解読、入れ替わり、可視、障壁、鷲掴み、収納、道連れ…こんなのを使う状況になるって絶対にろくなことにならないじゃん。これ…自分の部屋に引きこもるのが一番安全じゃないの…?)


もうこの現象のことを考えるのは一度やめよう。そう考えてパソコンを起動させて、フリーゲームを遊び始める。



しばらく遊んで身体を伸ばすと清水からもらった黒猫の人形を肘で押してしまい、顔を地面にぶつけさせてしまう。ぬいぐるみを手に取り、元の場所に戻そうとすると黒猫と目が合った。


理科「!?」


びっくりして、思わず後ろの方に放り投げてしまう。黒猫は壁に当たってベッドに転がり床に落ちてしまった。


理科「あぁ、いけない」


椅子から立ち上がりぬいぐるみを手に取り元の場所に戻す。黒猫と目は合わなかった。


理科「気のせいだよね」


きっと11人のことを邪推しすぎていたから、黒猫のぬいぐるみと目が合ったと驚いただけだ。自分にそう言い聞かせることにした。


スマートフォンを手に取ると清水さんからチャットが来ていた。


清水『夜ご飯何食べる?』


理科『何があります?』


清水『今から他の10人も外食しに行くって言っているけど、理科ちゃんは来る?』


書かれていることを2度見する。あまりにも距離を詰めるのが早すぎないだろうか…。


理科『行きます』


清水『分かった。みんなにもそう伝えるね。1時間後に出るから準備をしといて』


理科『分かりました』


30分仮眠を取った後、外出用の服に着替えエントランスに向かった。



評価・ブクマよろしくお願いします。

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