49話 剣士と魔法使いの出血大サービス
魔法使い
「この前食品店で『出血大サービス』というのがやってたんで行ってみたんですが、がっかりしました」
剣士
「どうして?」
魔法使い
「だって店内に一滴の血も流れてないんですよ!!」
剣士
「当たり前だろ」
魔法使い
「『出血』って店から言ってるのに! 流血を求めて行ったのに! 私は平然と嘘を付くその店が怖くなりました」
剣士
「血を求めてスーパーに行くお前のほうが怖いよ。いいか。出血大サービスっていうのは『赤字覚悟で安売りする』一つの表現であって、本当に出血するわけじゃないんだ」
魔法使い
「そうなんですか。でも『出血』だとまだ表現が弱いですよね。これじゃ店側の覚悟が伝わりません」
剣士
「じゃあお前ならどんな表現にする?」
魔法使い
「ケジメ小指落とし! 大サービス!」
剣士
「ヤクザか! 絶対お客さん来なくなるだろ。もうちょっと柔らかい表現の方が良いな」
魔法使い
「チラ見せ大サービス!!」
剣士
「それはどんなサービス?」
魔法使い
「商品をチラ見せします」
剣士
「売れや」
魔法使い
「じゃあ血尿! 大サービス!」
剣士
「汚えよ! 小便とか食品売り場にあるまじき表現すぎるだろ!」
魔法使い
「じゃあ親知らず大サービス」
剣士
「何のサービスだよ!」
魔法使い
「来店した人全員に店長の親知らずをプレゼントします」
剣士
「店長親知らず何本生えてるん?!!」
魔法使い
「じゃあ脇の匂い! 大サービス!」
剣士
「何だその死ぬほど臭そうな店は!!」
魔法使い
「店員は全員お相撲さんで揃えます」
剣士
「もうテロだろそれ!!」
魔法使い
「じゃあ『アキレス腱断裂大回転!』」
剣士
「最早何も売ってねえじゃねえか!!」
魔法使い
「じゃあ粉砕骨折大サーカス」
剣士
「それはただの労災!!」
魔法使い
「じゃあ『おでこのシワ大サービス』!」
剣士
「どういう類いのサービスなんだよ!」
魔法使い
「会計の時、お客さんのおでこのシワにレシートをはさみます」
剣士
「無礼すぎるわ!!」
魔法使い
「はさんだ瞬間『ぺいぺい!』って言います私が」
剣士
「自分で!?」
魔法使い
「じゃあおちんちん大サービス!」
剣士
「最早ただの下ネタじゃねえか!!」
魔法使い
「おちんちん大回転!」
剣士
「回すな!!」
魔法使い
「あ! 今すごく丁度いい表現を思いつきましたよ!」
剣士
「何だよ」
魔法使い
「出血大サービスってどうですか?」
剣士
「いや元に戻ってんじゃねえか!!」
おわり




