48話 剣士のヒモ脱出計画
ーー剣士は闇魔道士の店でしこたま飲んでいた!
剣士
「うぃー! ヒック」
闇魔道士
「おい飲み過ぎだぞ、剣士」
剣士
「はい、シャワーヘッドの真似しまあす!!」
闇魔道士
「やれるものならやってみろ」
剣士
「闇魔道士が!」
闇魔道士
「押し付けるな」
剣士
「おい決めたぞ闇魔道士ぃ、俺ぁ一人暮らしする!」
闇魔道士
「魔法使いが許すのか?」
剣士
「うるしぇえ! 何であいつの許可がいるんだよ! 俺ぁもう一人で生きてけるんだよ! 依存を断ち切るんだぁああ!」
闇魔道士
「だが収入のアテはあるのか」
剣士
「大丈夫大丈夫魔法使いからお小遣い貰うから」
闇魔道士
「いや完膚なきまでに依存しているではないか! 断ち切るどころかヒモ続行する気満々だろ貴様!」
剣士
「一発ギャグやりまーす! ヒモ!!」
闇魔道士
「ありのままだな」
剣士
「うるへえ! どいつもこいつも俺をヒモ扱いしやがって!!」
闇魔道士
「むしろヒモ以外の何だという」
剣士
「俺ぁ剣士だ! 見ろ! この100万ゴールドで魔法使いに買ってもらった剣!」
闇魔道士
「ヒモぉ!」
剣士
「この真っ直ぐに伸びた剣は俺の魂だ!」
闇魔道士
「他人の金で買った魂」
剣士
「厳冬の闇夜の如く鋭い刀身!」
闇魔道士
「ぬるま湯に浸かりきった持ち主」
剣士
「そして俺が迷子になっても分かるよう皮膚に埋め込まれたICチップ!」
闇魔道士
「もう身体まで売り渡してるではないか! そのICチップ犬猫に付ける奴だぞ!?」
剣士
「俺の魂を刻むように鎧、そして服一着一着には住所と名前が記載されてある」
闇魔道士
「幼稚園児の識別方法!!」
剣士
「あと鳥取と島根の違いが分かる」
闇魔道士
「何の自慢だ!」
剣士
「どうだ! これだけあれば一人で暮らして行けるだろぉ!」
闇魔道士
「いや手遅れだろ。もう骨の髄までヒモだぞ貴様」
魔法使い
「あ、剣士さんこんな所にいたんですか。飲み過ぎちゃ駄目ですよ帰りましょう」
剣士
「うるせえ! まだ飲み始めた所なんだよ邪魔するな!!」
魔法使い
「帰ったらプリンありますよ」
剣士
「お会計ぇええ!」
闇魔道士
「もうそういう夫婦だろ貴様ら」
おわり




