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23話 女騎士と桃太郎



女騎士

「リンゴといえば桃太郎だな」


剣士

「何が【といえば】なんだよ。桃太郎といえば、最初におじいさんとおばあさんが出てきてさ……」



女騎士

「ちょっと待て! ネタバレやめろ!」



剣士

「何その桃太郎における新しい概念」



女騎士

「まだ完結していない作品のネタバレをするとか非常識だぞ!」



剣士

「数百年前に終わっとるわ」



女騎士

「私はまだ桃太郎が猿の彼女を寝とってカニと戦争になる所までしか読んでいないんだ!」



剣士

「何そのちょっと面白そうな展開。桃太郎にそんなシーンねえよ」



女騎士

「え? じゃあ桃太郎がキジを食肉処理場に送るかどうかで葛藤するシーンは?」



剣士

「どういう流れでそうなったんだよ。倫理的にダメだろ」



女騎士

「じゃあ犬が【こんな思いをするんならワカメに生まれれば良かった!】ていうシーンは?」



剣士

「何があったんだお前のところの桃太郎一行は!」



女騎士

「どうやら私の知っている桃太郎とお前の知っている桃太郎は違うらしいな」



剣士

「いや俺とお前が違うんじゃなくてお前と全ての桃太郎が違うんだと思う」



女騎士

「じゃあ今から私の知っている桃太郎を朗読してみるから、おかしい所があったら教えてくれ」



剣士

「分かった」



女騎士

「昔々、あるところにおじいいさんとおばあさんがいました」



剣士

「うん」



女騎士

「おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんはタイに行きました」



剣士

「いきなりグローバルになった」



女騎士

「整形手術を受けるためです」



剣士

「ばあさんその年でアグレッシブだな」



女騎士

「おばあさんが整形手術を受けていると、川の上流からどんぶらこ、どんぶらこ、と」



剣士

「どこで手術してんだよ!」



女騎士

「もう一人のおばあさんが流れてきました」



剣士

「どういうこと!?」



女騎士

「もう一人のおばあさんは、整形手術に抵抗を持つおばあさんの葛藤が生み出した概念でした」



剣士

「概念!? なんでおばあさんの精神世界の出来事になってんだよ!」



女騎士

「おばあさんはもう一人のおばあさんに桃太郎と名付けました」



剣士

「展開が強引過ぎるだろ!」



女騎士

「おばあさんんがタイから戻ると、おじいさんはレモンになっていました」



剣士

「なんで!?」



女騎士

「おじいさんはレモンに呪われたのです」



剣士

「どんな人生歩んでたらレモンの恨み買うんだよ」



女騎士

「おばあさんは早速レモンを切ってみることにしました」



剣士

「それおじいさんだろ!!」



女騎士

「ワイモスンペがスイカを切ると」



剣士

「ワイモスンペって誰?!」



女騎士

「中からもう一人のおばあさんが出てきました」



剣士

「何人いるんだこのババア!」



女騎士

「おばあさんはレモンから生まれたおばあさんに桃太郎と名付けました」



剣士

「スイカだろ! どっちにしろ二人桃太郎が存在しててややこしいわ!」



女騎士

「おばあさんはその後、不法滞在で起訴された後、処刑されました」



剣士

「急に殺された!! 罪重くない!?」



女騎士

「残された桃太郎は桃太郎と仲良くやっていかなければなりません」



剣士

「ややこしいな……」



女騎士

「しかし、残された桃太郎は桃太郎のことをあまりよく思っていませんでした」



剣士

「どっちの桃太郎なんだよ」



女騎士

「そこで二人は融合して一つになりました」



剣士

「いや落とし所おかしいだろ!」



女騎士

「そして桃太郎は鬼退治をすることにしました」



剣士

「やっと元に戻ったよ。いや戻ってないんだけど」



女騎士

「桃太郎が道を行くと、向こうからワンワン! と鳴く声が聞こえてきます。それはおばあさんでした」



剣士

「この世界おばあさんのみで構成されてんのか!」



女騎士

「二人は融合して一つの桃太郎になりました」



剣士

「こいつさっきから人間性を損なうことに一切の躊躇がねえ! やべえぞ!」



女騎士

「次に出会った猿とキジは食べました」



剣士

「もうこいつが鬼だろ!!」



女騎士

「そう。本当の鬼は桃太郎の心の中にいたのです」



剣士

「やかましいわ!」



女騎士

「桃太郎は鬼退治をするため鬼殺隊に入りました」



剣士

「話変わってんじゃねえか!」



女騎士

「こうして村に平和が戻り」



剣士

「戻ってねえよ! むしろこいつが乱してるよ!」



女騎士

「桃太郎はタイに永住しましたとさ。めでたしめでたし」



女騎士

「どうだった? 今度子供達に読み聞かせをやろうと思うんだが」



剣士

「絶対にやめろ」




おわり












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