188話 王子の家へ2
ーー剣士と王子はリビングを目指していた!
剣士
全然着かねえ!
王子
だろうね。僕も辿り着いた事がないから
剣士
何で家の中のリビングが前人未踏なんだよ!
王子
はあ、はあ、せっかくリビングにお金を掛けて作ったのに、全然使えないと思うと……お湯が湧く……
剣士
お前の頭だよ湧いてんのは
王子
んほっ!
剣士
くそっ! そういえばメイドはどこなんだ。あいつもリビングに向かったんじゃないのか
王子
ああ、メイドは玄関から入って10歩の客間にいるよ
剣士
それ早く言えよ!! 絶対そっち行くべきだっただろ!
王子
ふふっ、人生とは迷ってこそだよ
剣士
うるせえよ!
ーー客間
メイド
ちょっと遅いんじゃないですか?
王子
はあ、はあ、ごめんなさい
剣士
どっちが主人だよ
メイド
せっかくお茶入れてたのに
剣士
すまんかった
メイド
時間が経ちすぎて入れたお茶がお青になっちゃったじゃないですか
剣士
お青って何!?
メイド
あとこれ、ウエディングケーキです。お青うけにどうぞ
剣士
デカすぎるだろ! あとお青うけって何だよ!
受けたくねえよ!
メイド
これくらい食べないと力士になれませんよ
剣士
ウエディングケーキで体重増やす力士とは!?
メイド
あとはもうその辺の川で取って来たタガメしかありませんが
剣士
そんなもん客に出すな!
王子
ふう、このお青おいしい
剣士
だからお青って何なんだ!
王子
この町は良いところだね。木馬にまたがっていると、みんな僕に刺すような視線を送ってくる
剣士
良い街の基準絶対おかしいだろ!
王子
以前住んでた村では木馬に跨る僕を誇らしげに見ていただけだった
剣士
それはそれでどんな街だよ!
王子
やがて老若男女問わず木馬に跨るようになった
剣士
村興ししとる!
王子
そして他の街の人々が寄り付かなくなり、過疎化が進んで廃村になった
剣士
村滅んどる!!
おわり