182話 変な王子
魔法使い
白馬に乗った王子様っていると思いますか
剣士
あー、そんな都合の良い存在なんていないと思うぞ。ペガサスみたいな空想上の生き物みたいなもんだろ
魔法使い
じゃあアレは何だと思いますか?
ーー魔法使いの指差す先には、三角木馬の上に座る、王冠をかぶった青年がいた!
剣士
木馬の王子様!? ちょ、ちょっと! 大丈夫ですか!
王子
心配するな! 趣味だ!
剣士
じゃあ余計心配だよ! 頭とか!
魔法使い
とりあえず一回そこから降りてもらえませんか
王子
嫌だ! 人に見られて余計に興奮してきたのだから!
剣士
とんでもねえ変態と会ってしまった
魔法使い
で、あなたは誰なんですか?
王子
私の名前はアルトゥール・マクシミリアン・オーレンティウス! 略して豚とでも呼んでくれ
剣士
名前じゃなくて人間性が要約されてる!
王子
あ、あと言い忘れていたが私はヴァルンティア王国の第一王子だ!
剣士
え、第一王子って王位継承者じゃないのか? 何でこんなところに一人で
王子
変態過ぎて追放されたのだ!
剣士
見て分かる納得の理由!
王子
はあ、はあ、君たち、もっとゴミを見るような目で僕を見てくれて良いんだよ
剣士
王子がしていい要求じゃねえだろ
魔法使い
豚、そんなことより『重り』足りてますか
王子
足りん!!!
剣士
元気よく言うな
魔法使い
ということで、4tトラックを持ってきました
剣士
どっから!?
魔法使い
さて、もうちょっと近づけますか
ーー魔法使いはフルスロットルで王子を引いた!
王子
ぎゃっ!!!
剣士
何してんの!?
魔法使い
すみません、アクセルとアクセルを踏み間違ってしまって
剣士
殺意100%じゃねえか!
ーー魔法使いはバックしてもう一度王子を引いた!
剣士
息の根止めに行っとる!!!
魔法使い
ストップ! 危険運転!
剣士
お前が言うな!
王子
これこれえ!!
剣士
これこれえ!?
王子
これだよ! 私が求めていた『責め』は! 王宮内には私に遠慮して思いっきりやってくれる人がいなかったからな!
剣士
遠慮してたんじゃなくて関わりたくなかっただけでは?
王子
気に入った。私は君たちの町にとどまることにしよう
剣士
(また変なやつが増えた)
王子
変なやつだとお!
剣士
こいつ心の中も読めるのかよ!
王子
もっと心を込めて言って!
剣士
喜んでたわ!
魔法使い
もっかい引いときますか
剣士
やめろや!
おわり