170話 闇魔道士の店のアルバイト4
闇魔道士
ということで、バイトの頭数も揃ったことだし明日から営業するぞ
ーー次の日! 昼時になると客が押し寄せてくる!
見習い魔導師
ひいいっ! 怖い! 人がゴミのようだ!
剣士
絶対その言葉使うタイミング間違ってるだろ
客1
すみませーん
見習い魔導師
は、はい。なんですか?
客1
エビフライ定食一つください
見習い魔導師
エビフライ定食一つ……エビが好き……エビは海に沈んだ死体を食べることがある……つまり人肉を食べたいと!?
客1
違うよ
見習い魔導師
ごめんなさいごめんなさい! 私の代わりに剣士さんが小指落とすので勘弁してください!
剣士
何のケジメを付けさせれてるんだ俺は!
もう俺が代わりに注文聞くから次に行ってくれ!
客2
すみませーん、注文良いですかー
歳三
ええ……?
客2
え、えっと、注文良いですか?
歳三
ええ……???
客2
注文良いですか!!
歳三
ボウリングのピンを舐めたい……?
客2
言ってないわ! どういう耳してるんだよ!
歳三
すまんがボウリングのピンは無いからのう……ワシの顔なら幾らでも舐めて良いぞぉ
客2
舐めねえよ! 何で飲食店に来てジジイの顔舐めないといけないんだよ! 食と生への冒涜だろ!
ちょっとそこのお姉さん注文良いかな
見習い魔導師
あ、はい
客2
天津飯とエビチリと、あと中華そば大盛りで。あ、ビールもほしいな
見習い魔導師
あ、わ、ちょ、ちょっとまってください
歳三
ワシに任せろ。天津飯とエビチリと、あと中華そば大盛りとビールじゃな?
客2
めちゃくちゃ聞こえてるし覚えてるじゃねえか!!
歳三
娘よ……困ったらいつでも言うのじゃぞ……ぐふふ……
客2
このエロジジイが!
客3
遅いな、30分前に頼んだラーメンが中々来ないぞ
すみませーん
剣士
はい
客3
ラーメンが全然来ないんですけど注文通ってる?
剣士
そりゃもう通ってるし、運んでますよ
客3
いや誰が運んでーー
剣士
あそこの女の子です
ーー剣士が指差す先には庭師がラーメンを持って銅像のように静止していた!!
客3
あれ店員だったの!? 全然動いてないけど!
剣士
1年に1mmずつ動いてますよ
客3
地盤か!! あれいつから運んでるんだよ!
剣士
ラーメンできたのが20分くらい前なんで、まあそれくらいは
客3
じゃあもう絶対ラーメン伸びてるよ! あいつが進んだ距離よりラーメンが伸びた距離の方が長いよ絶対!!
剣士
算数の問題ですか
客3
違うわ!
見習い魔導師
もうダメです剣士さん! 耐えられません!
剣士
どうした
見習い魔導師
だってみんな私に向かって注文してくるんですよ!
剣士
そういう仕事だよ!
見習い魔導師
私に向かってラーメンだの餃子だの……先生はラーメンじゃありません!
剣士
お前も先生じゃないけどな
見習い魔導師
もうやめます! 続けられません!
剣士
でもお客さんみんなお前が一番可愛いって言ってたぞ
見習い魔導師
剣士さん、明日も頑張りましょう
剣士
(ちょろい)
おわり