110話 勇者は春が好き
勇者
なああ!! 早く春にならねえかなあ!
魔王
貴様の都合で早く来るわけないだろう
勇者
何でだよ! 俺自分の眼球をピンク色に染めるくらい春大好きなのに!
魔王
怖すぎるだろ。充血してるんだそれは
勇者
こうなったら春らしいことをして無理やりにでも春の気分を味わおう!
魔王
何をする気だ
勇者
まずドラムを用意します
魔王
ドラム?
勇者
次に自分の尻を叩きます
魔王
ドラムを用意した意味
勇者
ほら来いよ! 春の精霊来いよ!
魔王
逃げるだろそんなことしたら!
ーーガチムチの男が現れた!
魔王
なんかめっちゃ筋肉質のやつ来た!!
男
私は味噌汁の販売員
魔王
春もクソもないただの社会人!!
男
魔王さん、うちの味噌汁を是非飲んでいきませんか? 最高にハイになりますよ
魔王
そんな味噌汁飲みたくないわ! 何で味噌汁飲んでキまらないといけないんだ!
あいかわらず尻を叩く勇者
おい魔王! 春は来たか!
魔王
来るわけないだろ!
勇者
くそっ! 俺の尻がいけないのか……!
魔王
何で貴様の尻が季節を背負って立ってるみたいになってるんだ!!
何て汚い自己陶酔なんだ!
勇者
魔王……そうか、お前も一緒に叩いてくれるんだな
魔王
言ってない言ってない!!
男
うわああああ! 味噌汁に食われる! 味噌汁に食われる!!
ーー味噌汁メーカーの男は味噌汁に吸われている!
魔王
こっちではB級ホラーみたいなこと起こってる!!
男
魔王さん僕と一緒にみそ汁の具になりませんか!!?
魔王
なるわけないだろ!!
勇者
ふっ、俺が一緒にいてやるよ
男
勇者さん……!
ーーこうして勇者と男は味噌汁の具になり、今でも星座として夜の星に浮かんでいる
魔王
どういうことだ!? 急に星になった!!
ーーそして、春が訪れる
魔王
本当に春になった!!
おわり