8話 旧メンバー4 調合師
剣士「うーん。旧メンバーを連れて行きたかったけど、みんな仕事を抱えているか、頭がおかしくて連れて行きたくないかのどっちかだな。残りはあいつしか……」
ーー剣士の前には調合薬局の看板を掲げた店がある。
調合師「あ、剣士……」
剣士「よう」
調合師「今日もヒモのような顔をしているわね……」
剣士「いやどんな顔面だよ。……お前に話があるんだ。ちょっと時間いいか?」
調合師「今日は忙しいの……。これからお昼寝して、起きたらご飯を食べて、散歩に行かないといけないから」
剣士「バチクソ暇じゃねえか」
調合師「で、何の用……」
剣士「実は俺、また旅に出ようと思うんだ」
調合師「ご愁傷様です……」
剣士「早いわ!」
調合師「旅に出るのなら餞別をあげるわ」
剣士「お、何くれるんだ?」
調合師「さっき拾ったブリーフパンツ……」
剣士「なんで拾ったんだよ!」
調合師「今すぐ履いて」
剣士「何で緊急ミッションなんだよ」
調合師「それはそうと、剣士の実力で街の外に出たら、3秒で卵焼きになるわ……」
剣士「なってたまるか。実は俺、仲間が出来たんだ」
調合師「ロリコン」
剣士「俺まだ何も言ってないんだが」
調合師「剣士には前科がある……」
剣士「やめろ、お前が言ったら本気に聞こえるだろ! ……えー、では登場して頂きましょう。新しく仲間になった見習い魔導師さんです!」
調合師「何この茶番感」
ーー見習い魔導士は剣士の背中に隠れている。
見習い魔導士「こ、こんにちは……」
剣士「ああ、すまん。この子コミュ障なんだよ」
調合師「私もコミュ障だし……」
ーー調合師も剣士の背中に隠れた!
剣士「何がしたいんだお前ら! コミュ障とか言いながらソーシャルディスタンス0じゃねえか!」
見習い魔導士「ここが一番落ち着くので」
調合師「私も剣士の後ろにいると胃がムカムカしてくる……」
剣士「じゃあ離れろや」
見習い魔導士「えっと、調合師さん。あなたは何のお仕事をされてるんですか?」
剣士「会話始めるんかい」
調合師「私は自分で調合した薬を売っているわ……」
見習い魔導士の頭の中「【剣士の仲間=頭おかしい】→【剣士の仲間の調合する薬=いけない薬】」
見習い魔導士「そ、そんな危ない仕事をしているんですか!?」
調合師「? ちゃんと営業許可は貰ってお店を出しているわ……」
見習い魔導士の頭の中「【公然とハイになれる薬のお店を出す】→【調合師は街の上の人と繋がっている】→【ギルドマスターはロリコン】」
調合師「ま、まさかギルドマスターが、そんないやらしい事を……」
剣士「いや、何を考えてるんだお前。あ、でも調合師がいい物件で店を出せるように俺からギルマスに頼んどいたのは本当だけど」
見習い魔導士の頭の中「【あのダンディーなギルドマスターと剣士が仲良い】→【物件の口利きをしてもらえるほど親密】→【剣士とギルドマスターが身体の関係を持っている】」
見習い魔導士「三密ですか!?」
剣士「三密は今の俺たちだよ」
調合師「剣士はヒモだけど、交渉の時は役立つの……」
剣士「もっと言い方あっただろ」
見習い魔導士の頭の中「【剣士はヒモ】→【あのゴリマッチョ気味で体毛の濃そうなギルドマスターと普段から濃厚な接触をしている】」
見習い魔導士「お尻は大丈夫なんですか!?」
剣士「何の確認なんだ」
調合師「剣士はわりとオジサンと仲良くなるのが上手いわね……」
見習い魔導士の頭の中「【オジサンと仲良くなるのが上手い】→【日常的に複数のオジサン達とー自主規制ーしている】」
見習い魔導士「お尻は大丈夫なんですか!?」
剣士「お前俺の尻に宝でも隠してんのか? まあ確かに俺は年上の人と仲良くなるのはうまいな。この町でも百人くらいのおっさんとは知り合いだし」
見習い魔導士「(百人斬り!? ボウフラ並みの戦闘力しかないのに股間のアレは)お尻は大丈夫なんですか!?」
剣士「俺の尻のコーディネーターかお前は。あ、でも俺この前まで痔だったんだよ」
見習い魔導士「ですよね!」
剣士「ですよね?」
調合師「私が作った座薬は効いたかしら……?」
剣士「まあ硬かったけど、すぐ楽になったよ」
見習い魔導士の頭の中「【剣士は脱法薬物を取り扱う店から薬を買って、しかもお尻に入れている】→【つまりおっさんのー自主規制ーでは満足できずー自主規制ーしている】→【剣士は常に太くて硬い棒状のものをー自主規制ーに入れて過ごしている」
見習い魔導士「自分のお尻を大切にしなさいよ!!!」
剣士「さっきからお前は誰と会話してるんだ」
調合師「変わった人……」
剣士「お前は人のこと言えないだろ。見習い魔導士、せっかくだしお前も調合師の店に入っていけよ」
見習い魔導士「ひっ!! 許してええええええ!!!」
ーー見習い魔導士は逃げていった!
剣士「何だあいつ」
調合師「剣士とお似合い……」
剣士「どういう意味だよ」
おわり