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04 熊との戦果

 もう戦闘はお腹いっぱいということで、俺たちはサクヤに乗ってミナミの町へと帰還していた。


 アリサたちが宿泊している宿にお邪魔して、これからボスのドロップ品の山分けをしようという話だったのだが。


「結局、星霊って何なんだろ」

「うーん、わかんないけど、今後のストーリークエストにでも関わってくるんじゃないかな」

「誰に地上に落とされたかとか、何のために封印されたのかとか。そもそもあの封印を解いてしまってもよかったのかとか。全然分かんないしねー」

「ボーナス貰えたし、よかったんじゃない?」

「いや、でも、あの3連戦はびっくりだね」

「アルカス来た時は死ぬかと思った」


 テーブルに着いても、アリサとジャスミンが話し続けていて、いっこうに始まる気配がない。俺はもう話をする気力もないのに、あなたたち、よくしゃべれるね。


「ていうか、フィールドボスリレーってなに?」

「あれは、コハクのドロップした極上のが悪いでしょ」

「でも、結果的に死なずにウハウハだからよくない?」

「たしかに。じゃ、山分けはじめようか」


 今回のフィールドボスのドロップは、初めから3人で山分けすることに決まっていた。喧嘩にならなければ何でもいいけど。

 ちなみに、アリサが欲しがっていたのは、<狂熊の籠手>だ。俺のストレージの中にあるのは伝えてある。これで、もう一度付き合わされることはない。


「それじゃあ、最初に決めて会った通りにボス戦でドロップしたアイテムは提出してね。他のやつはドロップした人の取り分で」

「私のところには、そんなにないけどね。バーサクベアーのレアドロップくらいだよ」

「MVPボーナスと、ボーナス報酬は私のところに」

「LAボーナスとレアドロップはここに」

「……レアドロップとMVPとLAがそれぞれ三つずつ。ボーナス報酬が三つだから、一人四つずつの取り分ね」


 ドロップ品を提出し、各々、欲しいものを言い合った。希望が被ったときは取り合いにもなったが、それすらも楽しく感じられた。


 今回の俺の戦利品は、<狂熊の極上肉><星屑の隕鉄><星弓・カリスト><星矢・アルカス>の四つ。


 そのうち、バーサクベアーからドロップした<狂熊の極上肉>はサクヤにあげるつもりだ。今回もサクヤには苦労を掛けたし。


 カリストのLAボーナスの<星屑の隕鉄>は武具の進化の際に役立つようだ。アリサとかぶったが何とか手に入れることができた。


 カリストとアルカスの解放ボーナス<星弓・カリスト>と<星矢・アルカス>はアリスもジャスミンさんも弓を使わないようなので、かなりレアリティが高いがどちらも俺がいただくことになった。


 アリサは、念願の<狂熊の籠手>を手に入れることができて、テンションがMAX。そのほかに、<北天子熊の極上の毛皮><北天子熊のブーツ>を。

 ジャスミンさんは、<スキルの書・極星の光槍><狂熊のパワーブレスレット><北斗の星輪>を。

 残りの<沈まぬ星の輝き>と<大熊たちの饗宴>はリンリンさんに回すそうだ。今回のボスリレーでレベルと装備に差がついてしまいそうなのだとか。


 三人全員に配られたダンジョン発見報酬は、ダンジョン内の地図だった。ただし、複製および譲渡、貸出は不可能のようだ。これで、お金儲けをするのは難しそうだ。


【鑑定】

<星弓・カリスト>

ATK +15 MAT +15 DEX +10

【狩神の加護・追放】ターゲットに放った矢をわずかに追尾させる

【変化・呪縛】存在を正しく認識されにくくなる

【七剣星】星属性の七つの魔法を放つ 要詠唱 MP 40 CT 300sec

【北天の親子熊】<星矢・アルカス>を装備時のみに使用可能 星属性の特大魔法


<星矢・アルカス>

MAT +12 AGI +12 MID +12

【夜空の狩人】気配をあたりと一体化させる 空が見える限り自分の居る場所を見失わない

【変化・救済】存在の認識をされにくくする

【無限の星】星属性の矢を生成し、射出する MP 1 CT 0.5sec

【北天の親子熊】<星弓・カリスト>を装備時の身に使用可能 星属性の特大魔法


<星屑の隕鉄>

星獣からドロップするとても珍しい鉱物。武具職人たちもめったに手にすることができない。武具の進化にとてつもない貢献をするらしい。


<狂熊の極上肉>

バーサクベアーからドロップする肉。極上品。狂気に侵されているため、調理してもおいしくはならない。モンスターは好んで食べる。好感度がとても上昇する。


 俺の今回の取り分を鑑定した結果だ。


 これで、攻撃の手段が増えた。しかし、練習しなければ、矢を当てることは難しいかもしれない。多少はスキルで追尾してくれるようだが、どの程度のものなのか、しっかり知っておく必要があるな。


 <星弓・カリスト>は大きな弓だった。洋弓ではなく、どちらかと言えば、和弓に近いような気もする。しかも、おおぐま座の解放ボーナスのくせに、北斗七星の成分強めのようだし。その辺りはきちんと分けられていないようだ。


 それにしても、要詠唱の文字がとても気になる。

 せっかく、今まで、スキルの名前を叫ばなくても大丈夫な仕様だったというのに。


 <星矢・アルカス>は指輪型のアクセサリーだった。また一つ指輪が増えてしまう。MPが切れない限り、矢を作り出せるようなので、矢を買い足すことはしなくていいようだ。


 <星矢・アルカス>と<星弓・カリスト>がそろっているので、【北天の親子熊】を使うことができる。アルカスとカリストを倒したのが、別々の人物だったら、使えなかったスキルだ。二つとも手に入れられて、ラッキーだった。さすが俺のLUC。いい仕事だ。

 しかも、極大魔法の文言から大ダメージを期待できるな。



「戦利品の山分けはこれでいいかな。後はダンジョンだけど……どうする?」

「どうするとは?」

「ダンジョンを発見したことを公表するかどうかよ。公表しなければ、誰かが見つけるまではダンジョンを独占できるし。公表すれば、大金が手に入る」

「私は2人にお任せしますよ、しばらくはダンジョンとは関わることはなさそうですし」


 鬼の国にたどり着くために、東へと進み続けるのが俺の冒険。

 <花鳥風月>が強化されなければ、特攻ダメージの入らないモンスターに対しては手も足も出ないし。

 ダンジョンに潜るというのであれば、武器の強化を終えてからにしたい。


「だってさ、どうする? ジャスミン」

「大熊の森に長居をする気はないけど、できれば最下層初到達ボーナスは欲しいよね。ダンジョンの地図もあるし」

「もう少しレベルを上げてから戻って来よっか。今度はリンリンも一緒に。コハクもそれでいい?」

「私ですか? 私は別に……」

「いいじゃん、せっかくだからさ。あ、そうだ! どうせだったら、マサのところも誘おうか。ダンジョンのことなら詳しいだろうし。地図の情報を高値で売りつければ、戦力とお金が手に入って、一石二鳥!」

「それもいいかもね、でも公表はしておいた方がいいかも? バレたときにヘイトが来るかもだし」

「どっちにしても、ダンジョン組は今は皆、始まりの町のところにかかりきりだし、公表して大金ゲットした方が、うまみがあるかも」

「だね、ギルドに行って、情報提供してこようか。んで、報奨金も山分けにしよう」

「それでいい? コハク」

「はい。あんまりよく分かっていませんけど。お二人にお任せしたので」

「じゃ、ダッシュで行ってくるね。すぐ帰ってくるから」


 アリスは宿を飛び出ていった。

 ジャスミンさんにいろいろと教えてもらったところ、ミナミの町の冒険者ギルドにダンジョンの情報を提供すれば、情報提供料がもらえるのだという。今回は、未発見のダンジョンの情報なので、かなりの額が手に入るらしい。


「ねえ、コハク。これからも私とちと一緒にやる気はない?」

「――すみません。他に行きたいところがあるので」

「そう、なら仕方ないか。コハクが一緒なら、楽しそうだなと思ったんだけど。じゃ、フレンドでいいか」

「あ、えーっと……フレンド?」

「そうそう、フレンド登録しようよ」

「それはですね……うーん」

「――やっぱり……アリサのお兄さんですよね」

「……は……?」

「司城先輩ですよね」


 突然、彼女の口から現実の名前が出てきた。


 司城雅幸。これが俺の名前。

 俺のことをそう呼ぶ後輩の知り合いなんて、そうそう存在しない。リアルでも俺のハイドは一級品だ。後輩に何て知られているはずがないのだ。


 梨沙が連れてきた時点で気づいてしかるべきだった。


「保藏茉莉花……か」


 茉莉花でジャスミン。こいつもこいつで安直だ。

 保藏は梨沙の小学校からの友人。もう一人、鷹山凛というのもいる。ああ、こいつがリンリンか……まったく思い出さなかった。

 リアルの友人同士でゲームをやっていたとは。


「そうですよ。噴水のところで最初に会ったときから、なんかどこかで引っかかってたんですよね。似た感じの誰かに会ったことがあるなって。さっきので、確信しました。司城先輩だって」

「で、だからどうしたの?」

「いやー、別にどうもしませんよ。ほら、フレンド登録しましょうよ」

「お断りするよ。そうそうフレンドは作らない主義なんだ」

「そうですか。なら、梨沙に言っておきますね、コハクは妹思いのいい子で毎晩添寝してあげたいと思ってるとか、一緒にお風呂に入りたいと思ってるとか、後は――」

「ちょっと待とうか。そんな根も葉もない嘘、梨沙が信じるはずないだろうけど。分かった。フレンドの登録をすればいいんだな」

「そのとおりです。分かっていただけて嬉しいです」


 梨沙の中で、コハクとジャスミンは今日初めて会った者同士。おまけにジャスミンはコハクのことを女だと認識している。

 そんな中で、こんな話になったとなれば、俺が梨沙に白い目で見られるだろう。

 その可能性を生み出すか、ジャスミンとフレンドになるかで言えば、迷わず後者を選ぶ。


 その後もアリサが帰ってくるまで、ジャスミンにはいじられ続けた。


「あれ、2人ともどしたの? まさか、バレちゃった?」

「先輩なら、初めからそう言ってくれればよかったのに。変に気を使っちゃったじゃない」

「いやー、これ見てお兄って紹介できると思う?」

「思わない」

「でしょ」


 それにアリサが加わり、俺は宿を飛び出すことになる。

 



コハク LV.28(+1)

種族【座敷童】 職業【桃太郎LV.28】(+1)

HP  91(+2) +7  MP  91(+2) +10

ATK ―       MAT ―

DEF 32(+0) +15 MDE 32(+0) +18

DEX 41(+0) +5  MID 43(+0) +10

AGI 45(+0) +10 LUC 29(+2) +8

スキル SP 18(+1)

【気配遮断LV.3】【縁結びLV.10】【健康祈願LV.3】【戦勝祈願LV.6】【交通安全LV.1】

【家内安全LV.1】

【鬼退治LV.10】【勧善懲悪LV.3】【キビ団子LV.3】【トレジャーハントLV.10】

【鑑定LV.1】【隠密LV.1】【索敵LV.3】【採取LV.1】【命中LV.1】【回避LV.1】【器用LV.1】

【俊足LV.1】【幸運LV.1】【夜目LV.3】【投擲LV.1】【ショートカットLV.5】【騎乗LV.1】

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