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山の上のキャンプ場③

「山小屋じゃないけれど、山の上のキャンプ場に決まったから」

 次の日、学校へ行くと江角君が皆をあつめてそう伝えてくれた。

『山小屋じゃないけれど』と言う言葉を外さなかったが江角君らしくて可笑しい。

 あんなことがあったのに江角君はいつものままで、会うたびにドキドキしてしまう自分がなんだか損をしている気分……。

 そもそも、あんなことを本当に江角君が私に言ったことさえ忘れそうになる。

 いや。忘れよう。

「江角!おやつは何円分OK?バナナはおやつに入るの?」

 お調子者の伊藤君が、茶化す。

「学校行事じゃないから、おやつは常識の範囲て構わないけれど、バナナはおやつには入れないので好きなだけ持ってきていいぞ」

 茶化されたのに江角君は真面目にこたえたあと

「学校行事じゃないけど、一応部活動として行くんだからゲームやオモチャ、ペットの類は持ち込み禁止」

『えーっ……折角ロンも一緒に連れて行けるかお願いしようとおもっていたのに』

「貸し切りって言う訳にはいかなかったけれど、今現在他の利用者の予約が入っていないそうなので当初の目的通り演奏会は実施できる」

 私が、ロンを連れて行けないことにガッカリしている間に言った江角君の一言で、皆から一斉に歓声が上がった。

「当日は、全体曲のほかに各自ソロをやってもらうから覚悟して練習してくること」

 さすがに江角君は盛り上げたあとにも、個人練習を課すなど一筋縄ではいかなくて特に下級生から悲鳴があがった。

「最後に、今現在予約は入っていなくて、今後予約を入れてくる一般の利用者には我が校が演奏合宿として使用する旨は管理人さんから伝えてくれるけど、一般の利用者が居ても居なくても十分に節度のある行動を心がけるように」

「それでは、なにか質問のある方はいませんか?」

 書記の私が全体を見渡して聞く。

「顧問の持田先生も行きますか?」

「皆が嫌だと言わない限り、参加させてもらうつもりだが、いいか?」

「いいでーす」

 皆が声をそろえて言うと、持田先生は少しモジモジしながら

「実は、俺のほかに一般参加で家族も一緒させてもらえれば有難いのだが……」

 歯切れが悪い。

「好いんじゃないですか」

「先生の奥さんって美人だって伺っていますけれど本当ですか?」

「そういえばお子さん、まだ四歳くらいでしたよね」

「ヒューヒュー熱々~!」

 などと、皆が口々に勝手なことばかり言い出した。

「一般の参加者については、我々吹奏楽部が口を出すところではないので好きにしてください」

 と、江角君が言うと

「家族の一般参加もありですか?」

 と言う意見が出た。

「もちろん家族もOKです。日ごろ僕たちを支えてくれているのだからフリー参観のつもりで来てください」

「ペットはOKスか~」

 ここでまた伊藤君が皆を笑わせる。

「この施設はペット同伴可能です。ただし、部としてペットを連れて行くことは禁止しますが、家族や別の一般参加者については断る権限はありません」

『えっ!一般参加ならペット連れて行ってもいいんだ!』


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