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山の上のキャンプ場②

 次の日は、吹奏楽部でコンクールの反省会が行われた。

 学校へ行く時に、江角君とどう顔を合わせれば良いものか悩んで足が重くて少し遅めに着くと、昨日片付けただけの楽器の手入れなどで忙しくてまともに江角君と顔を合わすどころではなかった。

 それが終わると全員が座って反省会。

 司会進行は部長の江角君。

 書記は副部長の私。

 三年生として部活動最後の仕事。

 昨日の結果次第が良ければ、関東大会に向けての準備会になるはずだったのだけど、残念ながら今年も反省会となってしまった。

 去年、一昨年と市の大会で勝ちあがれなかったので反省会は七月中に行われていたのが、今年は県大会まで駒を進めたので八月になった。

 それに今年は初めてA編成で挑んだので1,2年生の多くが貴重な体験ができたと思う。

 部員数の関係で、去年まではB編成だったので私も一年生のときはコンクールに参加できなかった。

 毎年、部員数は六十人前後なので五十人クラスのA編成を選択したのは大胆だったとおもったけれど、結果もよく、あとはこの貴重な体験をどう来年につなげていくか、それは後輩に委ねられた。

 反省会が終わり、次の議題は“打ち上げ”。

 コンクールと退部する三年生の労をねぎらってワイワイ騒ぐイベントの打ち合わせで、去年は隣町に出来た世界の料理食べ放題のお店での昼食会をして、一昨年は焼き肉の食べ放題だった。

 冒頭に江角君が「こう毎年毎年食べ放題では胃が持たん」と言って笑わせていたけど、「明日の吹奏楽部に繋がるものが欲しいな」と言い直して皆の意見を求めた。

 カラオケ店、カラオケ喫茶の貸し切り、ライブハウス、お寿司と焼き肉の食べ放題などの意見が出てナカナカまとまらない。

 私は『山小屋!』と言うために勇んで登校してきたというのに書記の立場上意見が出しにくい。

 そんな私を、何故かジーと見ていた(黒板の文字を見ていただけかも……)江角君が徐に

「鮎原さん。なんかこう、衝撃的な意見ない?」

 衝撃的な意見と言っても、私は山小屋しか考えていなかったので素直に

「山小屋!」

 と言った。

 言った直後から場が騒然としてきた。

「登山?」

「武者修行」

「ワンダーフォーゲル部?」

「疲れる~」

 と、いった意見から次第に

「キャンプファイヤー」

「合宿」

「夜の演奏会」

「星空のコンサート」

 と、いう発展した意見に代わって来て、おおかた今年の打ち上げは私の提案になろうとしていた。

 ただし江角君から「山小屋はないだろう。どうせ言うならキャンプ場と言ってもらわなくちゃ話が混乱する」と注意され、みんながそれで大爆笑した。

 あとは先生も交えて費用と場所、混雑状況と楽器の持ち込みの可否などの打ち合わせが行われた。


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