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サマーコンサート⑯

 言葉を話すことの出来ないロンだけど、その行動は人間の誰よりも饒舌。

 ロンは心に不安を抱えたままベッドで眠ってしまった私の元に、悪夢がやって来ないように守るためと、不安に傷ついて冷たくなってしまった心を温めて癒すために私の横に来て一緒に寝てくれていたのだ。

 突然サマーコンサートには行けないなんて言って、私を惑わす何処の誰かさんよりもズーっと優しい。

 私はベッドから上半身を持ち上げると、私の優しい王子様に抱き着いて「ありがとう」と感謝の言葉を伝えた。

 私に抱き着かれたロンは、特に戸惑うでもなく耳元でただハアハアと息をしているだけ。

 ロンを抱っこしているうちに、ムクムクと元気が湧いてきた。

 元気が湧くと、血流が良くなり、疲れていた脳も動き出す。

 そう言えば昨日……。

 昨夜、急に江角君からサマーコンサートに出られないことを聞かされ、気が動転してしまって倒れたところまでは覚えているけれど、家までどうやって帰ったのかは何故か記憶にない。

 これって、いったいどういうこと??

 倒れそうになった私を、江角君が抱えてくれたはず。

 ひょっとして江角君が抱え損ねて、私は砂浜に偶然転がっていた石に頭を酷くぶつけて……記憶喪失⁉

 慌てて頭を触ったけれど、どこも痛くは無いし、どこにも大きな“たんこぶ”は見つからなかった。

 う~ん、でもよく考えると、そのあと江角君に抱えられて車に乗せられたような気もするし、家の前でビックリするお母さんに「大丈夫だから」って言った気もする。

「なんだかなー……」

 そう呟いて、再びベッドに沈んだとき“ピロリン♪” と携帯電話の通知音が鳴った。

 開いてみると江角君からのメール。

 しかも3通も。

 いま来たばかりのメールを開くか、それとも最初に来たメールから順番に開くか少し悩んでから、私は最初のメールから順に見ることにした。

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