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サマーコンサート⑫

 次の日、大学に行くのが待ち遠しかった。

 気分は今日の天気と一緒で、最高に好い気持ち。

 電車であろうがバスであろうが映画館であろうが、もうどこでもロンを連れて行きたい気分。

 そんな私のウキウキ感が伝わったのか、朝の散歩のときから大学に行くために家を出るまで上機嫌。

 お互いに最高のご機嫌なので、ついつい遊んじゃってナカナカいえを出られないで居たら、とうとう大学に行く時間ギリギリになってしまった。

「じゃあ、行ってくるねロン!」

 いつもは、“さあ出かけるぞ!”っという段階になると、急に寂しそうにするロンが、まるで“行ってこい!”と言うように前足で私の事を蹴って送り出してくれた。

 その調子の波に乗って元気に家を飛び出した私だったけれど、バタンと閉まるドアの音を聞くと、やっぱり寂しくなってしまう。

“なによ、私なんて……さっきまではロンを連れてどこでも行くと思っていたのに、結局そんなこと出来やしないのに……”

 屹度ドアの向こうに居るロンも今頃はもう燥いでなんかいなくて、玄関マットの上に顎を乗せるように深く伏せて、次にこのドアの向こうから私の足音が聞こえてくるのをジッと待っているのだ。

 朝からの楽しい気分がロンとの別れで、少し萎む。

 毎日の“行ってきます”~“おかえりなさい”なのに、何故だろう。

 電車の車窓から景色を眺めながら、ずっとそのことを考えていると、急に肩を叩かれた。

 いつもより2本遅い電車だから、伊藤君たちとは違う。

 まして、最近忙しくて全然会えない江角君でも……。

 誰だろう“もしも知らないおじさんだったら怖いな”と思いながら振り向いてみると「鮎沢、久し振り」とクールな感じの優しくて懐かしい声。

「江角君! どうしたの?」

 最近の江角君は忙しくて、私より1時間近く早い電車で登校していた。

 それなのに、今日は遅刻ギリギリ。

 いや、江角君はキャンパスが違って、乗り換えがあるからこの電車だと完全に遅刻!

「寝坊?」

「いや、今日は久し振りに午前の講義が無くて、家で少しゆっくりしていた」

“ん!?午前の講義がないのなら、もっとゆっくりしていてもいいのに、なんだか中途半端な時間……どこかに用事でもあるのかな?」

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