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教育実習⑳

 教育実習は思っていた以上に忙しい。

 朝早くから生徒たちと競うように学校へ入り、その生徒たちを見送った後、やっと事務仕事に入る事が出来る。

 最近は宿題も出るようになったので睡眠時間は5時間ほどしかない。

 まあ、もっともその原因は私が部活に顔を出しているのも大きい。

 現に同じ実習生でも、部活に関わっていない人達は、朝8時前に来て夕方6時過ぎには帰っている。

 私は、それが駄目だとは思わないし、羨ましくも思わない。

 いろんな生徒、そしていろんな先生が居るからこそ、学校は楽しいのだ。

 鈴木君と松田君の二人と仲良くなったことで直ぐに鷺沼さんや高津さんとも仲良くなることが出来て、部活ではその先輩達そして教室ではその友人関係を中心に気軽に話ができる友達の輪が広がっていく。

“友達”

 そう、私は未だ先生じゃない。

 母校には先生になるための、お勉強をしに来ている実習生。

 平たく言うと、生徒なの。

 中村先生はまだ若いけれど、それでも一年生とは10歳も離れているし、学年主任の門倉先生とは30歳近く歳が離れていることになる。

 それに比べて、私はまだ生徒たちと6歳しか離れていない。

 だからこの教育実習の期間を使って、私は生徒たちと先生とのパイプ役を務めることが出来たらと思う。

 もちろん門倉先生等は、年齢差を感じさせないくらい生徒たちと親しく付き合えている。

 中村先生も、そう。

 私には、そう言う経験はないから、若さだけが勝負!

 とは言っても、経験はないので無理はしないつもりでいる。

 自分からSOSを求めていそうな生徒を見つけ出そうとはしないし、悪そうな生徒の中に入って行って熱血指導もしようとは思わない。

 私が行う事は、自然体で居ること。

 その中で、生徒たちが発するホンノ小さなSOSに気が付いてあげること。

 気が付いたあと、どうしたら良いのか分からないし、決めてもいない。

 門倉先生や中村先生に相談すれば良いのか、自分で何とかするべきなのか。

 まあたった3週間の間にそんな生徒が現れる確率も低いし、みんなからかなり天然だと言われている私が、はたしてその小さなSOSに気が付けるのかが問題だ。

 そんなことを考えながら、放課後の吹奏楽部に参加して皆の演奏を聴いていた。

 そして私は気が付いてしまった。

 そう、小さなSOSに……。

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