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中学最後の大会④

 次の日学校へ行ってみると里沙ちゃんは登校していた。

「おはよー!里沙!!」

「おはよー!千春!!」

 里沙ちゃんのソフトボールは終わったのに、今日からは後輩の指導なんだなと感心していたが、まだ大会の終わっていない私が感心している場合ではない。

 音楽室に上がると、もう何人かの部員が来ていて、もちろんその中に江角君もいて「おはようございます!」と挨拶して部屋に入ると「副部長遅い!」と睨まれた。

 部活は正式には八時からなので、七時四十分に到着している私が遅いと言われる筋合いはないのだけれど、やはり副部長として他の部員より遅く到着するのはまずいのだろう。

 一応「すみません」とだけ言って準備に取り掛かる。

 五十分前後から続々と部員が集まって来て各楽器のチューニングを始めた。

 そして八時。

 江角君が朝の会を始める。

 まず、朝の会までにチューニングを完璧に済ませておくことを注意した後、来週行われるコンクールに向けて練習と体調管理を絶対に怠らないように言った。

 特に他の部活も大会があって応援したい気持ちもあるだろうけど、炎天下長時間行われる他の大会の応援に行くことが吹奏楽部部員としてどうなのか、よく考えて行動を慎むように付け加えられた。

 ひょっとして私の事かな?と思ったら、江角君と目が合ったので間違いなく昨日の私のことを言っている。

 たしかに我が校が負けたから午後になって帰れたけれど、決勝まで進んだら帰りは夕方になり、あまり体力に自信のない私は屹度バテバテに疲れただろう。

『でも、なんで知っているの?私が里沙ちゃんの応援に行ったこと』

 少しだけ、そう考える時間があっただけで、直ぐにコンクール曲のパート練習をするため木管楽器グループを集めて音楽室を出て中庭に向かった。

 そうしないと打楽器や金管楽器の音が混ざって小さなミスを逃してしまうから。

 十時の休憩のあと、全員が音楽室に戻って全体練習をして十二時にお昼休憩。

 みんな気合が入っているから気を張り詰めていたけど、さすがにお昼休憩になると昨日の疲れも出てきてグッタリ。去年までのB編成(35人以内)と違って今年は全国大会を目指すA編成(50人以内)となると納得のいく全体練習って皆無に等しい。

 どうして江角君はA編成に拘ったのだろうって少し怨んでいると急に頬に冷たいものがあたり「キャッ!」と声を上げてしまった。

 振り向くと笑顔の里沙ちゃんが手に持っている缶ジュースを突き出してきた。「差し入れだよぉ~」張り詰めて、そしてウンザリしていた気持ちが一気に和んだ。

「ありがとう~。里沙は部活もう終い?」

「うん!でも一緒に帰ろ!」

「いいけど、終わるの4時だよ。それまで何して待つの?」

「け・ん・が・く」


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