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教育実習⑨

 朝の職員会議で自己紹介をして、その後の職員会議に参加しないで校長室に呼ばれ、話をした。

 そして、そのあと中村先生が迎えに来てくれて一緒に教室に向かう。

 私の担当するクラスは1年A組。

 そう、この教室こそ私がこの高校に入って最初に学んだ教室。

 今は立場を変えて、そこへ入る。

「いい?」

 扉の前で、中村先生が私を振り返って聞いてくれた。

「よろしくお願いします」

 私の返事を合図に、中村先生が扉を開ける。

 生徒たちの注目を浴びながら、教室の前から入るのは初めてだ。

 一人一人の眼差しが、まるでライトで照らされているように眩しい。

「はい、みんな静かに!」

 中村先生の言葉に、それまでざわついていたことを初めて知る。

「今日から、教育実習で皆さんを受け持つことになった鮎沢先生です。鮎沢先生は皆さんの先輩で、正面玄関の一番大きい全国吹奏楽コンクールの金賞のトロフィーを我が校に持ち帰って来てくれた当時の部長です。それでは鮎沢先生に自己紹介してもらいます」

 生徒たちがワーっと歓声を上げ、拍手をしてくれた。

“先生、その紹介、ハードルが高いです……”

「みなさん、おはようございます。教育実習生の鮎沢千春です。今日から3週間私は、みなさんがどうしたらもっと楽しく有意義な学校生活を送ることが出来るのか勉強をするためにやって来ました。どうか一緒に頑張りましょう」

 恥ずかしかったけれど、照れながら言うと、もっと恥ずかしいのは分かっているので、吹奏楽部の本番だと思って堂々と喋った。

 そのあと、生徒たちから簡単な質問を受け、直ぐに授業が開始された。

 初日の私は、その授業風景を見ているだけ。

 学科は歴史なので、理系や英語のように頭を抱えながら授業を受ける生徒もいないので、本当に見ているだけ。

 そして中村先生も、一本調子になりがちな文系の授業に抑揚を利かせて、生徒たちの脳に呼びかけるように授業を進めているのが凄く参考になった。

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