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道⑧

 夕方に、兄の車で茂山さんのお店に行った。

 もうすっかり夜のライブハウスが定着したみたいで、この日もライブが行われていた。

 令夏ちゃんは、車の中でミルクを飲んで、今は御満悦の表情でおとなしく寝ていた。

「抱っこしてもいい?」

「いいわよ」

 美樹さんから渡された、毛布にくるまった令夏ちゃんは思ったよりも重くて、そして温かい。

 私が抱っこするのを心配しているのか、それとも嫉妬しているのかロンが何度も振り返って見る。

「こんばんわー!」

 カランコロン♪とお店の玄関を開けると、そこにはもう里沙ちゃんが待ち遠しかったように入り口の目の前までお迎えに来てくれていた。

 そして、その手に抱えているのは令夏ちゃんと同じ年に生まれた和樹くん。

 和樹君は里沙ちゃんに立ち抱っこされて、私の胸でスヤスヤと眠っている白雪姫に興味津々と言うふうに身を乗り出すように見ていた。

「ふたりは屹度、大の仲良しになりそうね」

「そうだね」

 私の言葉に里沙ちゃんが頷く。

「あら、でも令夏は我儘でヤンチャだから、和樹くんたいへんよぉ~」

 美樹さんが和樹くんの頬を撫でながらそう言うと「それは、我が家と同じだな」と茂山さんが頭を掻いて笑う。

 やっぱり里沙ちゃんは、いつまで経っても活発な里沙ちゃんのまんま。

 そういえば、茂山さんのお父さんも、いつもカウンターで落ち着いて居て、お店を仕切っているのはお母さんの方。

 ひょっとしたら、この系図はこの子たちにも引き継がれるのかも知れない。

 そう思うと、なんだか楽しくなってきた。

 カランコロン♪

 お客さんが入って来たので入り口から離れようとすると、入って来たのは足立先輩とラッキーだった。

「千春、一年振り!」

 変な挨拶だと思ったら、そう言えば足立先輩は今年の初詣には珍しく来ていなかったのを思い出し、私も「久し振り!」と言って抱きついた。

「足立先輩、去年は何処に行っていたんですか?」

「風邪よ」

「あらあら大変、でも珍しいね」

「どーせ、私は馬鹿ですからねー!」

「あっ、ごめんなさい。わっ私、そんな意味で言ったんじゃ……」

「いいよ。分かっている。だって私、馬鹿じゃないもん!」

 足立先輩は、そう言うとラッキーごと私に抱きついて来た。

 カランコロン♪

「あら、鮎沢先輩に足立先輩。今年もお熱いですね!」

 入って来たのは高橋さん。

 そして隣には甲本君。

 しっかり手を繋いで入って来る姿は、羨ましい限り。

 カランコロン♪

「よう!ご両人。あれ江角は?」

 今度は伊藤君と瑞希先輩。

 こっちは、さりげなくお揃いのマフラーを首に巻いている。

「もしかして、そのマフラー瑞希の手編み?」

 足立先輩の鋭いツッコミに、伊藤君が頭を掻いて照れていた。

 カランコロン♪

 次は今川さんに宮崎君。

「鮎沢先輩!」

 直ぐに今川さんが抱きついて来た。

「おいおい、ここはカップル喫茶に変わったのか??」

 足立先輩が、茶化す。

 カランコロン♪

 ん? 次はどのカップル??

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