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高い山に、碧い空⑱

 少し坂を上って行くと、直ぐに木々の中に暖かく包まれた大学に着いた。


「ホント直ぐね!」


「いいでしょー」


「うん。羨ましい」


「でも、こっちのほうがもっと凄いのよ」


 そう言うと、目の前の大学を通り過ぎて坂道を登って行く。

 登り切った所にある道路を越えたところにあるのは、モダンな造りの大学と違って、重厚な雰囲気のある中高の学舎。

 ここも緑の木々が綺麗。


「こっちこっち」


 京子ちゃんは、その門をくぐり右の建物に入って行く。

 私も付いて行くと、ドアの向こうに有ったのは素敵な教会風のホール。二階くらいの高さから大きなパイプオルガンが伸びているのが圧巻だった。


「素敵!」


 自然にそんな声が出た。

 伝統のある有名な私立の学校だからこそ、実現できたような贅沢で落ち着いた空間。

 収容人数それほど多くないだろうけれど、高く伸びた天井と二階席もあり、大ホールにも引けを足らないばかりか寧ろこのほうが音楽には向いていると思えた。


「こんなところで演奏できるなんて羨ましいわ」


「でしょ。高校は九州に行っちゃったけど、もともとはここの中等部に居たからずっとこれを見ていて、ここに帰ってくる日が来ればいいなぁって思っていたんだ」


「よかったね」


「千春のおかげだよ」


「私の?」


「だってコンクールで千春のオーボエを聞かなければ、そして千春と出会わなければ、私は“あの事”を引きずったままだったからここに帰ってきていないと思う。もし、返って来たとしても屹度このホールを恨んでいたと思うわ」


「なんで?」


「だって、ここは教会だもの。運命を逆恨みするのにはちょうどいい場所でしょ」


 京子ちゃんが言った“あの事”と言うのは、お姉さんと飼い犬のリョウを同時に亡くしてしまった事故の事。

 確かに、あんなことがあったら私だって、ここには帰れない。

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