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高い山に、碧い空⑬

 中休み、私はノンアルコールのカシスオレンジジュースを、そして高橋さんはなんとビールを頼んだ。


「えっビール!?」


「だって二十歳ですから。それにこのノド越しクセになります」


 そう言って、グビグビと喉を鳴らして大胆に飲む。


「酔わないの?」


「一杯くらい平気ですよ。鮎沢先輩はビール、駄目なんですか?」


「アルコールは、苦手……」


 またお子ちゃまみたいだと言われてしまうと思って、小さく返事を返す。

 でも高橋さんは「鮎沢先輩らしくて、好いです」と爽やかにニッコリ笑ってくれた。


「さあ、いよいよ甲本君の出番よ!早く席に着きましょ」


 ドリンクの提供を終えた里沙ちゃんが、グラスを回収して急き立てる。

 なんだか嬉しそう。


『ブルーSKY』の音楽は、今までの二組とは比べ物にならないくらい激しい。


「大丈夫なの?」


 小さな声で、里沙ちゃんに聞いた。


「大丈夫よ。もともとペット同伴自由という設計で、防音にはお金をかけているから」


 それを聞いて安心した。

 エレキギターにベース、それにシンセサイザー。

 電気を使う楽器の音を新鮮に感じたけれど、その中にあってもやはり甲本君のドラムは一切電気を使わないのに栄えていた。

 特に特定のヴォーカルを置かずに、パートの演奏が緩い人が順々に歌うスタイルも、今迄になくて新鮮。

 隣の高橋さんなんを含めて、会場はもうノリノリ。

 吹奏楽やオーケストラとは全く違う会場の熱気に、見ているだけで酔いそうになる。


 何曲か終わったあと「さあ、ここで本日のスペシャルゲスト!come on店長Akira・Shigeyama!」

 甲本君の声に、サックスを持った茂山さんが拍手を受けながら登場する。


「曲はTRUTH!」


 どこかで聞いたことのあるメロディー。


“そうだ、これ。兄が昔見ていたテレビの自動車レースの始まりに掛かっていた曲”


 屹度シンセサイザーでもサックスの音は出せるはずだけど、やっぱり生のサックスの音は違うし、茂山さんも上手い。

 大きな茂山さんが、より大きく見えた。

 そして輝いていた。


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