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令和⑤

 次の週、今度は里沙ちゃんと茂山さんが和樹君を連れて来てくれた。

 学習能力の高いロンは、令夏ちゃんが来た時ほどソワソワしなくて、結構落ち着いていた。

 だけど、二週立て続けに赤ちゃんを見たものだから、気持ちも若返ったのか里沙ちゃんにベッタリ。

 最初は気が付かなかったけれど、メロンを付けたくらい大きくなった里沙ちゃんの胸に鼻を当ててはクンクン匂いを嗅いで、うっとりとした表情を見せて屹度自分が赤ちゃんだった頃の事でも思い出しているみたい。


「ごめんね里沙、ロンたらエッチで」


「いいのよ。ロンの気持ちは分からなくもないから」


 そして、オッパイの匂いのする赤ちゃんにも寄り添って離れない。

 本当に自分が赤ちゃんだった頃のことを思い出しているみたい。

 でも、ロンのお母さんがどんな犬だったかは分からない。

 それは、貰って来た鶴岡部長のスワン動物病院の先生も知らない。

 だって、ロンはミックス犬だし、動物愛護センターに居た子だったから。

 でも、そうじゃなかっとしても、犬たちが本当の家族と一緒に暮らす機会は極少ない。


 たいていの場合は生まれて数か月から一年以内に親と別れるし、一度の出産でお母さんが生む赤ちゃんは3~6匹で、乳離れが済むと兄弟も直ぐに離れ離れになってしまう。

 もちろんこれは、人に飼われている犬たちの事で、人里離れたところで野良犬として生きている子たちは家族兄弟で群れを作っている。

 猫の場合、多頭飼いの家庭もたまに見かけるけれど、犬は散歩とか糞尿とかのお世話が大変なので、家族の協力があったとしてもご近所に迷惑を掛けないで飼える数はせいぜいその家でお世話の確りできる人の数だけだと思う。


 我が家の場合なら、帰宅時間がまちまちなお父さんと私は、お世話する人数には入れないから、朝夕必ずいるお母さんだけ。

 高校時代なら私もお世話する人数に入れたのだけれどね。

 そう考えていると、急に甘えたくなって、ロンの横にペタッとくっ付いた。


「あらあら、ワンコの赤ちゃんの隣にも、大きな赤ちゃんが出来ちゃったわね」


 そう言って里沙ちゃんに笑われた。


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