表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
701/820

潮騒⑤

 結局、動画がUPされたからと言って、なにも被害はなかったし、その動画自体直ぐに削除された。

 屹度、面白半分というのではなく、茂山さんと里沙ちゃんに見てもらうのが目的だったのだろう。

 こういったものはネットに繋がりさえすれば、世界中どこに居ても好きな時に見ることが出来るから。

 そして、その里沙ちゃんたちも新婚旅行から帰ってきて、今は仲良くお店を切り盛りしている。

 お店のほうも、朝から夕方までは今まで通りのペットと同伴出来る軽食喫茶で、今迄閑散としていて早くお店を閉めていた夜の時間をライブハウスとして活用することになった。

 ライブハウスと言っても、ジャズやロックばかりじゃなくてカントリーやクラシックなどもOKで、料金もチケット制から投げ銭、無料の腕試しまでと利用しやすさを考えたもの。

 その、ライブハウスの“こけら落し”に招待された。

 入口に貼られているポスターには、綺麗な40歳前後の女性の写真。

 私でも知っている、有名なジャズシンガー『AKIRA』さん。

 オープンと言っても、今日はほぼ身内限定。

 そこに『AKIRA』さんが来てくれるなんて、すごいと思ってドアの中へ。

 店内に入ると、茂山さんの知り合いで、去年の夏に泊まった九十九里のコテージのオーナーのオジサンが「やぁ。千春ちゃん久し振りだね」って手を振ってくれた。

 この人は確か、元テレビ局の音楽プロデューサー。

 さすがに顔と名前を覚えるのが上手い。


「その節は、お世話になりました」


 ロンと一緒に挨拶をすると「ロンも元気そうで良かった」とナデナデしてくれた。


“そうか、きっとAKIRAさんは、この人が呼んでくれたんだ”


 やっぱり持つべきものは“お金と友達”って、今私が作った格言。

 ステージにはもう、ピアノとドラムが置かれていた。

 日本を代表する若手ジャズシンガーAKIRAさんと、その演奏をするスタッフさんは何処だろうと首を伸ばして奥のほうを探したけれど、見つからない。


“まあ、始まったら見られるから、いいか”


 と、そう思ってあきらめた。


「千春ちゃん、チョッといいかい?」


 いきなり九十九里のオーナーさんに声を掛けられて振り向いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ