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ビバ、オーケストラ♪㉑

「さあ、いったいどういう事なのか、説明してもらいましょうか?」 


 滝沢さんが、住之江部長の肩に肘を乗せて聞く。


「あんた、他にも写真とか撮っていそうね。携帯見せなさい」


 美緒が、携帯を取り上げる。

 住之江部長はオロオロして、てきとうな弁解を繰り返すばかりの焦りようで、見ていて何だか可哀そう。

 しかも、何人かがこの騒ぎに気が付いて、こっちを見ているし……。

 このまま、携帯に怪しげな写真とかが有ったりして、美緒が騒いだりしたら住之江部長が可哀そうなことになってしまう。

 そう思って私は「場所を変えましょう」と提案した。

 穏やかに言ったつもりなのに、部長はビクッとするし、滝沢さんと美緒も一瞬私の顔を見て、まるで従うように返事を返すし何か変だった。


「どこに連れて行くの?」


「そうね、人気のないところで――健康管理センターの横辺りが誰にも見られなくて良いんじゃないかしら」


「わ、わかった……」


 滝沢さんと美緒の、戸惑った返事。

 俯いて、おとなしくなった住之江部長。

 三人が、私の後を付いて来る。

 日頃、人の先頭に立って歩くことのない私にとって、それは辛くて顔が強張る。

 正門前にある市民交流プラザの横を通り抜け、スクエアーの奥にある健康管理センターの横に着く。

 スクエアービルも、この健康管理センターも、横側に殆ど窓が無い作り。

 そして、この場所は手前側とは言え、大学校内の四隅の一角に当たる。


「……で、どうするの?」


「えっ!?」


 到着した途端に、滝沢さんにどうするか聞かれて戸惑った。

 だって、住之江部長をどうにかしたいのは滝沢さんと美緒なのだから。


「美緒、どうするの?」


 美緒に聞くと、美緒の方も驚いて、どうしたらいい? と、私に聞き返してくる。

 私に聞かれても、どうしたら良いのか分からない。

 とりあえず人の携帯を勝手に開けるのは良くないから、美緒の手から住之江部長の携帯電話を取り上げた。


 と、その瞬間。

 住之江部長が急に土下座をして「ひえ~~私が悪うございました。お金は必ず払います。ですから携帯だけは御勘弁をー!!」と、情けない声を上げた。

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