ビバ、オーケストラ♪⑫
家に戻って、ロンに入部試験に失敗したことを報告すると“仕方がないなぁ、まあ次のとき頑張りなよ”とでも言っているように明るく励ましてくれるようだった。
あのあと、チャンと江角君から聞いた。
恥ずかしかったけど、聞かなくちゃ何も分からないで勝手に勘違いしてしまうから、私がインフルエンザになる前のあの日の放課後、滝沢さんの車でどこに言っていたのか。
結局は私が勝手に思っていた事とは全然違っていた。
秦野に住む親せきの伯母さんが亡くなったので一緒に行ったそうで、その伯母さんと言うのは滝沢さんのお父さんのお姉さんに当たる人。
ちなみに、滝沢さんと江角君の従兄妹関係は、江角君のお母さん側の従兄妹という関係になるらしい。
江角君のお母さんには未だ会った事がないけれど、末の妹さんと言うのが、あのハンター坂の綺麗な女医さんなのだから、滝沢さんが美人なのも頷ける。
滝沢さんは以前から入院していた伯母さんの容態を気にしていたから、いつ何が有っても大丈夫なように車で来ていたので一緒に乗せてもらって秦野迄行ったそうだ。
そして、その後に江角君との連絡が取れなくなったのは、そのお通夜やお葬式などのせい。
私のインフルエンザ復帰の後、入れ替わるようにしてインフルエンザに罹ったのも、お通夜かお葬式の時に菌をもらって発症したのだろうと言っていた。
私は、江角君からちゃんと聞くことのできた話を、ロンに教えるように話した。
ロンは、話の一部始終を私の膝の上で撫でられながら、丸い目を更に大きく丸くして聞いてくれ、話し終わったときもまだジッと私の目を見つめてくれていた。
「ありがとうロン。心配してくれていたんだね」
そう言って抱き寄せて初めてロンは私の頬を舐めた。
「かっこいいのも必要だけど、聞き上手というのも理想の彼氏には絶対必要な条件ね!」
そう言いながら、犬であるということ以外、理想の彼氏としての必要条件を全て満たしているロンを更に抱きしめると、ロンのほうも負けまいと頑張って私の顔を舐める。
自然に胸が熱くなり、涙と笑いが込み上げてきた。





