ビバ、オーケストラ♪⑨
演奏は止められたけれど、みんなのおかげでいつもの演奏に戻ることが出来た。
“ありがとう。みんな”
それにしても一番早く私の異変に気が付いてくれて、一番いい対処をしてくれた江角君だけど、滝沢さんと言う綺麗な彼女が居るのなら私なんて見捨ててもいいはずなのに助けてくれて感謝したい。
そしてコバと美緒――参加表明だけで終わってしまった伊藤君にも。
「急に、どーした!?全国吹奏楽コンクール金賞受賞時の部長が、こんな所でいきなりやらかすなよなっ!」
審査員にも聞こえてしまうほどの、大きな声で伊藤君に怒られた。
「ゴメン。上がった……」
私は小さく謝る。
「オマエ、高校の時に全国大会入賞者を一対一で負かしておいて、今更こんな所で上がんなよ!もう一回演奏し直してみるか?俺が頼んでやるからさ!」
またしても伊藤君の大声が響く。
伊藤君の激しい口調は、私に言っているものではない。
もしそうなら、江角君が止めさせてくれるはず。
伊藤君は、私に代わって失敗の弁解をして、もう一度チャンスがお貰えるようにアピールしてくれているのだ。
お調子ものだけど、たまには良いところもある恨めないやつ。
「それでは、結果発表をする」
審査が終わったらしく、部長が良く通る声を張り上げ、ざわついていた部室が水を打ったように静まり返る。
「ヴァイオリン江角紘太朗、合格」
おーという、どよめきが漏れる。
「ファゴット小林裕一、合格。クラリネット森口美緒、合格。トランペット伊藤真一、合格……」
次は私の名前が呼ばれると思っていた。
そして、部長の口から次に出た言葉は――。
「以上、合格者はこれから渡す楽譜をシッカリ覚えて、来週水曜日午後5時までに来ること。それとこれから入部用紙を渡すので、今直ぐ記入して副部長に渡してくれ」
名前……呼ばれなかった。
「部長、鮎沢千春の名前がまだですが」
伊藤君が喧嘩腰で部長に迫る。
「不合格者の名前は呼ばないことにしている」
冷静な部長の声が、私の胸に突き刺さる。
“不合格……”





