別れと始まり②
三月下旬、高校を卒業した後輩達の送別会を兼ねて河原でお花見をすることになった。
場所は卒業生たちに選ばせて、後の日程調整はある程度相談のうえで決めた。
私たちの住む近所の河原には、厚木や津久井湖ほど桜の木はなく、厚木や津久井湖だって、そんなに遠いわけではない。
それでも、卒業する後輩たちは、いつもの河原を選んでくれたことが本当に嬉しかった。
当日、天気は快晴。
朝の空気が冷たくて、美味しい。
自転車の音がして玄関を出ると、里沙ちゃんと江角君が来た。
今日は車ではなく歩いて河川敷に向かう。
なんとなく、私たちも高校時代にそうしていたようにして、一年前を思い出す。
足立先輩の家の前に来ると、山下先輩と南先輩と一緒にラッキーと遊ぶ足立先輩が私たちを待っていてくれた。
六人と二匹で土手に向かう途中で、瑞希先輩と田代先輩に会い、直ぐに八人と三匹になる。
集合時間より大分前に河川敷に着いたのに、もうそこにはマッサンとコバ、それに戸塚君に青山君の四人がいて、聞くところによると、場所取りを兼ねて昨日の晩から来ていたということだった。
私たちが着いた頃に、丁度茂山さんの車が入って来て、食材とバーベキューセットを皆で降ろした。
茂山さんも誘ったのだけど、卒業生じゃないからと断られた。
だけど、こうして面倒を見てもらい有難く、そして申し訳なくも思って皆で丁寧にお礼を言うと「妻になる里沙の大好きな友達のためだから、これくらいさせてもらって嬉しいのはこっちです」と逆にお礼を言われた。
そう、里沙ちゃんは六月には茂山さんと結婚する。
そうこうしているうちに、今川さんや宮崎君をはじめとする卒業生、堀江君や加奈子たち在校生たち、それに顧問の門倉先生と中村先生が集まってガヤガヤと賑やかになってきた。
待っている間の会話は、どこの大学に決まったのか?と、大学生活ってどうですか?の現役大学生と、高校卒業生の応酬話法。
今川さんと宮崎君は、共に近くの厚木にある大学に決まった。
そろそろ、開会式でもしようかと言う頃になっても来ない高橋さんが気になって私は何度も土手の道を気にしていた。
そう言えばメールで、どこの大学に決まったのか聞いたけれど『ナイショです♪』としか返事を貰えなくて気になっていた。
そして、今日は来るはずなのに……。





