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ホワイトクリスマス⑲

「だからなの?」


「えっ?」


「だから、私が江角君にスキーのこと言い出しにくかった時に、わざわざ大学まで来てくれたの?」


「い、いや。あのときは、な・なんとなく。だ」


 鈍い私にでも直ぐ分かる嘘。

 嘘に、良い嘘というものは無いのかも知れないけれど、悪い嘘ではない。

 だから私は「ふう~ん」と返事をして、話を止めた。

 伊藤君と話をしている間、おとなしくしていた犬たちが、そわそわし始める。


「ごめん、ごめん。君たちも遊びに来たんだものね」


 そう言って、三人を散歩に連れ出すことにした。

 私を気遣ってくれた伊藤君には、ご褒美としてロンのリードを持たせてあげて、私はマリーとラッキーのリードを持って散歩に出ると、なにか妙に歩きづらい。

 何でだろう?と考えていると、どうも犬たちの並び順に問題があったみたい。

 左からロン、ラッキー、マリーと並んで歩き出しして直ぐにマリーが真ん中に移動して、ロンのリードを持っている伊藤君が私の右に来て、左からマリー、ラッキー、ロンの並びになるとまた直ぐマリーが真ん中に移動する。

 最初はいつものように、マリーがロンの傍にまとわりついているのかとも思ったが、何となくお目当てが違う気がして伊藤君にマリーのリードを預けてみた。

 左からロン、ラッキー、マリーの順に並ぶと意外にスムーズに散歩が出来て、その逆でも、ランとラッキーの位置が変わっても、それは同じだった。

 そうすると、マリーのお目当てはロンではなかったと言うことになる。

 では、誰がお目当てかと言うと、それは伊藤君。

 でも何故?

 そう思って、いろいろと今までの事を考えてみる。

 山の上のキャンプ場、河原での演奏会、夏の海水浴……。

 すると、やはりマリーは伊藤君の傍に居ることが多かったことを思い出す。

 つまりマリーは伊藤君に慣れているということだ。

 人間と犬との相性は確かにある。

 だけど、これは相性ではないような気がする。

 犬はその好き嫌いとは別に、遊んでもらった時間や世話をしてもらった回数に応じるように懐く。

 だから虐待する飼い主にも逆らわなかったりするのは、ご飯をくれたり一応の世話をしてもらえるから、または優しかった記憶を大切にしまっているから。

 だから悪い飼い主の言うことでも聞くし、余程の事がない限り逃げ出さない。

 そして、相手からの愛情が深ければ深い程、それに応えて愛情を注ぐ。

 犬は決して、自分を繕わず嘘もつかない。

 だからマリーを見ていて、鈍い私でも分かる。伊藤君と瑞希先輩の関係。


「いつから、付き合っていたの?」


「えっ?」


「瑞希先輩と」


 私が聞くと、伊藤君は頭を書いてこう言った。


「茂山さんのお店で初めて会った時に好いなって思って、そしてきっかけは二回目にあったとき」


「それからずっとなの?」


「そう」


 結構なショックだった。

 やっぱり私は鈍かった!

***参考***


伊藤君が瑞希先輩と初めて会った回⇒ただいま募集中⑧~⑩


きっかけとなった二回目の回⇒Uターン⑤~⑦


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